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子会社などの組織再編を実施する際は、財務面だけでなく人件費や人事制度など人事面のデューデリジェンス(調査・審査)を行い、統合時のリスクの把握と新たな方向性の策定を行う必要があります。
大手商社F社では不動産業を営む子会社3社の統合を検討していました。統合の目的として、関連事業の垂直統合による一体的な運営体制の構築、内部統制コストの削減、適正人員による組織運営を通じたコスト競争力の強化と高付加価値/高効率の事業実施が挙げられていました。そして10年後の売上目標の実現に向けて、3社を統合した際に想定されるリスクの抽出とその解決方法の検証が必要となっていました。

各社の人事制度の把握/各社へのインタビュー
プロジェクトが開始された当初は受領資料が限られている中、3社の事業内容と人事制度の概要を把握した上で、各社へトップインタビューを行いました。インタビューの内容は、事業の特徴、人員構成、組織風土、採用・離職状況、従業員の保有能力、育成方針、配置転換、等級・評価・報酬制度、労働諸条件、退職給付制度、労働組合、過去の人事制度改定など多方面に及びました。このインタビューにより概略的ではあるが、各社の組織・人事マネジメントの特徴を捉えることができ、統合にあたっての懸念点を整理することができました。
等級・評価・報酬制度、労働諸条件、退職給付制度の1次分析
インタビューの実施結果を踏まえ、さらに3社から受領した資料をもとに、まずは人事制度面からの分析を行いました。そして3社の実在者の個別データから報酬水準(給与、賞与、年収)や退職給付水準を外部水準も含めて比較分析しました。その結果、報酬水準は職務によって差が大きいことがわかりました。また同一職務であっても水準が非常に高い会社(X社)があり、他社との水準調整が難しくなる可能性が高く、統合時のリスクとして明らかになりました。人員構成の特徴からは、管理職比率が高い会社、管理職手前の層が多い会社があり、統合に際して管理職の要件を明確に定める必要があることがわかりました。また統合パターンをいくつか想定し、報酬シミュレーションを行いました。3社の10年後の人件費推移を試算した結果、やはり報酬水準の高いX社が際立っており、人件費の圧迫要因となっていることが明確にわかりました。
等級・評価・報酬制度、労働諸条件、退職給付制度の詳細分析導入支援(アドバイザリー)
詳細分析では、クライアント内で検討が進んでいた買収予定のD社を中心に分析を進めました。1次分析の結果、D社を含む4社の統合スキームが大枠として決定され、その後は統合スキームに沿って、さらなる詳細な分析が行われました。
追加された個別データを用いて報酬水準など1次分析よりも詳細な分析を行い、そしてD社を含めて新たに報酬シミュレーションを実施し、統合による人件費の推移を算出しました(図1・図2)。また、就業規則などの規定類を全て分析し、統合時の課題を挙げました。
詳細分析の最後の過程では、部門別分析として各社で業務内容の近い部門を対象に、制度上の年収レンジの違いや実在者の年収分布の違いなどを明らかにしました。
新会社人事制度の方向性の作成/統合に向けたタスクとスケジュール案の作成
これまでの分析を踏まえて統合時の課題をまとめ(図3)、今後の方向性について概要を示しました。職務別賃金制度の導入、出身の異なる各社従業員の思考様式・価値観を統一するための行動評価の導入など新会社の人事マネジメントの方向性を仮説として挙げました。また、今回は制約により各社の従業員にヒアリングすることができなかったため、組織風土や社員の能力レベル、労使の関係についてはさらなる分析が必要なことを提言しました。
■ 図1.報酬水準の比較(1)

■ 図2.報酬水準の比較(2)

■ 図3.統合時の主要なリスク

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