テーマ

女性の力を活用する

働きやすい環境は必要条件、やりがいある仕事と公平かつ実力重視の処遇や育成が鍵に


141106_women1




女性活躍推進の現在

2013年に安倍政権がアベノミクスの第三の矢である成長戦略の一つとして、「2020年までに指導的立場に就く女性比率を30%にする」ことを発表して以来、女性の活躍推進に関する動きが活発になっています。大企業に対しては女性登用に関する達成度の数値を報告するように義務付けるなど、政財界が一体となって、なんとか女性の経営幹部や管理職を増やそうと躍起になっているのが現状です。

しかし、実際の女性の経営幹部や管理職への登用の実態は、依然として低調です。労働政策研究・研修機構の調査によると、日本における女性管理職の割合は11.1%、米国の43.7%や英国の34.2%と比べて低いレベルにとどまっており、帝国データバンクの2014年の調査でも8割以上の企業で女性管理職が10%未満、女性管理職が1人もいないという企業が過半数を超えています。

2013年の日本国内の女性の雇用者数は2002年から比べると250万人増えて2,323万人増えているという内閣府の統計もありますが、このうち過半数はパートやアルバイトといった非正規社員が占めており、正社員は25万人減少しています。

また、女性自身の管理職になりたいという意向も、微増しているもののまだそれほど高くありません。内閣府男女共同参画局が2010年に行った調査において、「将来、管理職として組織の経営管理に関わりたい」と回答したのは、男性の49.7%に対し、女性は15.9%に留まりました。

当社が2014年に大企業のビジネスパーソン1,600人に対して実施した調査においても、まだ管理職になっていない社員に対して「将来、管理職になりたい」かどうかを尋ねたところ、男性の26.6%が肯定回答だったのに対して、女性の肯定回答は18.7%に留まり、否定回答は49.0%にのぼりました。(調査結果のサマリーはこちらからご覧いただけます)

管理職に対する魅力を十分に訴求出来ていない、管理職になる上での適切なキャリア機会を提供できていない等、企業において女性社員の管理職への意向を高められていない実態が浮き彫りになっています。

女性活躍推進を考える際の視点

このような女性登用の状況を踏まえ、どのような視点を持って女性の活躍推進を進めていくべきか。クレイア・コンサルティングでは女性活躍推進について以下の3点が重要と考えています。


1.男女間の性差に対する正しい認識は欠かせないが、性差の追及は思考停止に陥りやすい

女性の登用が難しい理由の一つとして、ジェンダー(性差)の存在があります。いわゆる男性らしさ、女性らしさのことであり、その違いに起因して、男性は指示命令を行い部下を統率するマネジメントが向いている一方、女性は協調性が高く、支援型の業務に適している、といったような議論がなされることがあります。

確かに脳科学的な見地からも、男性と女性には明確な差異があるという指摘はあるのですが、昨今のLGBT(セクシャル・マイノリティ)の存在など、社会的・文化的な側面において、性差をことさらに強調すること自体が差別的に捉えられることもあるだけでなく、この思考形態は考えを矮小化してしまうことに繋がります。

日本経営協会が2014年に実施した調査において、「女性管理職は気遣いやコミュニケーションには自信がある一方、指導力や管理統率力には自信がない」(2014年8月13日付日本経済新聞夕刊12頁)という結果が取り上げられています。

このような調査結果について、これを性差に起因するものとして捉えてしまうと、そこから対策を立案する上で、この性差をどう解消するかという方向にしか議論が発展せず、結果として思考が停止してしまいます。

このような結果になった背景にどのような構造的メカニズムが発生しているのか、なぜ女性管理職は男性管理職と違うスキルに対して自信をもっている、あるいは自信をなくしているのかを根底から考えていく必要があるのです。

一方で、女性から見た女性登用の取り組みが進まない理由として、「男性優位の考え方が変わっていない」が「両立支援制度があっても利用しにくい」に次いで2番目に挙げられ、昇格や管理職登用、人事評価などでも男性に比べて女性のほうが不利と感じていることが、2014年の経済広報センターの調査において明らかになっています。

経営陣や管理職などにおいて、無意識下で存在している女性差別意識を取り去り、セクシャルハラスメントへの理解を含めたジェンダーに関する正しい認識を周知徹底し、性差による差別の無い環境を提供することは必須です。


2.ワーク・ライフバランスは女性活躍推進の第一歩にはなるが、女性社員への動機付けとしては不十分

2012年度の厚生労働省の雇用均等基本調査によると、女性の活躍を推進する取り組みと必要と考えている施策において、「女性の継続就業に関する支援」が64.6%でトップとなっています。1,000人以上の企業で見ると、この「女性の継続就業に関する支援」が重要と考えている企業は78.5%にのぼり、次いで「ワーク・ライフバランスを促進する取り組み」が54.8%となっています。

先の経済広報センターの調査でも、企業で女性が不利と思う最大の要素は「家事・育児・介護の負担」で女性の8割が指摘しています。また、先の当社の調査においても、「管理職になりたくない」女性の半数以上が、仕事のために生活面での時間を犠牲にすることに抵抗感を感じており、ワーク・ライフバランスが管理職への意向を阻害する要因になっていることが明らかになっています。

そこで、各企業はワーク・ライフバランスの促進や長時間残業の抑制といった女性の就業継続支援につながる取り組みを行っており、それらの施策が女性社員の管理職への意向を高めることにある程度寄与していることは確かな事実です。

しかし、これらはあくまで現在の不満を解消し、働きやすい環境を整備するための施策であり、これだけでは女性社員を動機づけ、管理職への意向を高めることは難しいと言えます。これらの負担を軽減することは重要ですが、それは最初の一歩を踏み出しただけのことであり、女性にさらに高い意欲を持ってもらうためには、さらに重層的な対策を打つ必要があるのです。


3.女性活躍推進の鍵は動機づけ。積極的な挑戦と実力発揮の場を用意、上司の手厚い支援も

女性の登用を進めていく上で最も重要なのは、先の②のように女性にとっての働きにくさを作り出している要因を解消することと同時に、女性の仕事に対するやる気やチャレンジ精神を高めることです。

人事に詳しい方であればハーズバーグという学者が提唱した「意欲要因―環境要因論」、いわゆる衛生要因と動機づけ要因をご存知の方も多いでしょう。ワーク・ライフバランスなどの働く環境における不備をできるだけ失くし、不満を解消していく②の方策は、この衛生要因を満たす施策となります。

従って②によって不満は解消されるものの、女性社員が前向きになって働くような動機づけがなされるわけではありません。女性社員の心に火を灯し、前向きな意欲を高めていくことが必要なのです。

当社が実施した調査の結果、女性社員が管理職への意向を持つか持たないかを大きく決める要因として、「責任ある仕事を引き受ける意欲」と「創造的な仕事や創発的な取り組みへの意欲」があるかどうかが重要であることが判明しました。

また、仕事を通じて組織への貢献を実感し、今の仕事に前向きなやりがいを感じている女性社員ほど、管理職になって活躍したいという意欲を高く持っていることがわかっています。そして、このような意欲を高めていくためには、個人に高い裁量を与え、難しい課題へのチャレンジを推奨するようなマネジメントを行っていく必要があります。また、上司が部下を信頼しながらキャリア形成を支援していくマネジメントも必要でしょう。

このように、女性社員の不満を解消するだけでなく、女性社員のやる気を高め、大きく動機づけていく人事・組織マネジメントを行っていくことが、女性活躍推進に向けた十分条件となるのです。そして、この施策は女性だけでなく、男性にも効果が高いことが明らかになっています。

挑戦する環境を与え、正当に評価・処遇を行い、社員の可能性を広げていく人事・組織マネジメントの一層の充実こそが鍵となります。具体的な調査結果については、下記を参照ください。

調査レポート

女性活躍推進に関する弊社コンサルタント執筆記事

女性活躍推進に関する弊社サービス

女性活躍推進に関する人事用語集

女性活躍推進に関する弊社の事例

  • 航空会社の主客室乗務員(チーフパーサー)の機内マネジメント力向上に向けたコンサルティング
  • 大手電機メーカーの一般職向けキャリア研修
  • 専門商社の女性一般職向けのキャリア形成
  • 大手海運会社における女性一般職からの総合職への職掌転換時のアセスメント支援
  • 大手食品メーカーの女性一般職の総合職登用時のアセスメント実施支援
  • 異業種交流形成による女性管理職候補者のマネジメント研修

※詳しい内容につきましてはお問い合わせください。