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細切れ業務に振り回される|大事な仕事に向き合う時間の作り方

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この記事でわかること

  • 管理職になると、部下の相談、会議、突発対応に追われ、自分の仕事に集中する時間が細切れになりがちです。こうした状態は、単に業務量が多いだけでなく、自分のマネジメントの癖によって、仕事の滞りや部下とのすれ違いが生まれている場合もあります。本記事では、PM理論をもとに、仕事の推進と人への配慮のどちらに意識が向きやすいかを整理し、大事な仕事に向き合う時間を生み出すための見直しの視点を示します。

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    1.はじめに

    「今日も部下の相談やトラブル対応で終わってしまった…いつ事業戦略を考えればいいんだ!?」
    「課長になる前の方が、商談資料を作り込んでいたなあ」

    新任課長の上岡さん(35歳)。課長になって、こんなに仕事に集中できなくなるとは想定外でした。メールやチャット、部下からの「ちょっといいでしょうか?」、会議やトラブル報告が絶え間なく発生します。課長として「もっと生産的な仕事に集中して、成果を出さなければいけないのに…」

    みなさんも、そんな焦燥感はありませんか?

    「マネージャーの仕事は、細切れで、計画性がなく、絶えず中断される活動の連続だ」

    これは、経営学の大家ヘンリー・ミンツバーグ教授が実証研究で示したマネージャーの実態です。

    )『マネジャーの仕事』ヘンリー・ミンツバーグ(1973年)

    プレイヤーであれば自分の仕事に集中できたものが、マネージャーになると状況は変わります。部下、上司、他部署からの相談や依頼、突発トラブル、これらの対応そのものが仕事のひとつです。さらに、昨今はプレイングマネージャーとして実務とマネジメント両方を担うことが一般化しています。

    絶えず中断される活動の中で成果をあげるには、職場(周囲との関係性)のすれ違いを減らすことが大きな鍵になります。相手を変えるのは容易ではありません。でも、自分の意識を変えることは明日からでもできます。

    自分の「マネジメントの癖」に気づき、見落としがちな側に意識を向けることで、部下とのすれ違いや仕事の滞りを減らし、大事な仕事に向き合う時間を作るヒントをお伝えします。

    2.<ケース> 食品メーカー営業業務課、上岡課長

    この4月、営業業務課に経理部から久東さん(28歳)が異動してきました。営業関連部署は初めてです。「得意先都合の急な変更」や「特売時の受注集中」といった現場で当たり前に起きる「予定どおりに進まない仕事」に久東さんは不慣れでした。

    上岡課長は、数字処理の正確さを見込んで久東さんに受発注チームのまとめ役を任せました。得意業務であれば、業務を通じて商習慣に慣れてくれると思ったからです。

    4月の面談で、「まずはチーム全体の進捗を見て、案件を止めないようにしてほしい」と伝えました。難しい個別判断は持たせず、まず全体の流れをつかんでほしい、上岡課長はそう考えていました。

    9月の中間面談で久東さんは「数字や処理状況は追えます。でも受発注は、得意先ごとの事情や突発対応が多くて、どこをどう優先すべきか、感覚がつかめません。後輩のほうが現場感を持っている場面も多く、どこまで踏み込んでいいのか迷います」と言っていました。

    上岡課長は「全部分からなくても、進捗管理はできるはずだ。管理を通じて後輩といろいろ話すことで、現場感覚が身についてくるよ」と答えました。

    11月末、年末繁忙を前にして、未処理案件と納品調整案件が例年の倍近く積み上がっていることが判明しました。案件一覧には、担当者の手元で止まっているものと、久東さんへの確認待ちのまま動いていないものが混在していました。

    この数カ月、久東さんが後輩に優先順位の見直しを求めたり、進捗を厳しく詰めたりする場面を上岡課長は目にしていません。ほかのメンバーからの個別案件相談や、営業課長からのイレギュラー対応の依頼などに追われて、久東さんからの報告や相談がないことに頭が回っていませんでした。

    しかし、まだ手遅れではありません。十分挽回可能です。

    3.自分の「マネジメントの癖」に気づく

    さて、ここで読者のみなさんに質問です。

    次の(1)(2)、どちらが最初に頭に浮かびましたか。

    1. 案件の優先順位をつけて、担当分けと工程表を組み直して、なんとか乗りきらなくては。
    2. なぜこの状態になるまで、メンバーは久東さんに相談や進言をしなかったんだろう。

    (1)を選んだ人⇒ 成果を出すための強い推進力に意識が向く傾向(癖)があります。

    (2)を選んだ人⇒ 現場への配慮や人の感情に意識が向く傾向(癖)があります。

    どちらが正解、というものではありません。どちらも重要です。

    どんなに優秀なマネージャーでも、判断事項が山積みの状態では、見落としがちな側まで十分に目を向けるのは難しくなります。

    だからこそ、自分がどちらに目を向けやすいかに気づき、見落としがちな方に注意を向ける意識を持つことは、マネジメント力の向上につながります。

    マネジメントの改善は、この種のすれ違いで生じる業務の滞留を減らし、結果として、相談対応に追われて自分の仕事が細切れになる状態から抜け出す一歩になります。

    4.PM理論におけるリーダーシップの型

    自分の「マネジメントの癖」に気づくヒントになるのが、Performance(仕事のマネジメント)とMaintenance(人のマネジメント)の2軸の高低でリーダーシップを4分類するPM理論です。

    PM理論に基づき、P機能(仕事のマネジメント)とM機能(人のマネジメント)の高低でリーダーシップを4タイプに分類した図

    目指すべきは、両方を兼ね備えたPM型ですが、誰しも得意不得意があります。そこで、「自分のマネジメントの癖」を知り、不得意な方の機能つまり自分に欠けているものに意識を向けると、バランスの取れた PM型に近づくことができます。

    5.立ち止まって確認したい3つのチェックポイント

    Pタイプ(Pm型)

    仕事の推進力は強い。だからこそ、中長期目線で成果(人の成長)を考えてみませんか。

    1. 今の対応は、その場の解決だけでなく、次はチームで回せる状態づくりにつながっているか?
    2. 答えを示すだけでなく、次は部下が自分で判断できる軸まで伝えているか?
    3. 進捗の遅れだけでなく、部下がどこで判断に迷い、仕事が滞りやすいかまで把握しているか?
      (根本原因の対応策を部下に考えさせているか?)

    チーム自走、部下の成長、根本原因の把握は、細切れ判断業務の削減につながります。

    Mタイプ(pM型)

    部下の気持ちを大事にする。だからこそ、上司としての意思を言葉にしてみませんか。

    1. 部下に配慮するあまり、仕事の着地点(上司としての意思)が曖昧になっていないか?
    2. 指示通りにやってほしい範囲や達成基準を伝えているか?
    3. 気持ちを受け止めるだけでなく、次に何をすべきかまで共有できているか?
      (視座を上げる、視野を広げることを部下に促しているか?)

    着地点や基準がある中で部下の意思を尊重しないと、仕事の手戻りが発生してしまいます。

    6.むすび

    新任ミドルマネージャーは、誰でも最初は、自分の得意なやり方で組織をマネジメントしようとします。それは自然なことです。大事なのは、自分がどちらに目を向けやすいかに気づき、見落としがちな方に注意を向ける意識を持つことです。

    まずは、ご紹介したチェックポイントの中からひとつで良いので、部下との会話で意識すると、相手の反応が変わるかもしれません。マネジメントは、そうした小さな見直しの積み重ねで変わっていきます。その積み重ねが、集中して考える時間を少しずつ生み出します。

    執筆者情報

    • I.T

      組織人事コンサルタントとして、日々プロフェッショナルな仲間に刺激を受け仕事をしている。
      モットーは、企業が大切にしている価値観やそこで働く人の思いを重視し、相手が何に困り、何を求めているかを真剣に聴くこと。

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