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いつ燃え尽きてもおかしくないマネージャーの限界|「全部やる」を変えるためにできること

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この記事でわかること

  • マネージャーに負荷が集中しやすい背景には、プレイングマネージャーの常態化やマネジメントの難易度上昇、人材の流動化といった変化があります。部下の残業を抑えつつ育成もしなければならない中で、仕事を抱え込み続けてしまう状況に悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、こうした状況がなぜ起きるのかを整理したうえで、「自分が全部やる」前提を見直し、役割を分けていく考え方が理解できます。

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    働き方改革で部下の残業は減った。けれど、残った仕事は自分が引き取って、夜や週末に作業している。
    会社からはメンバーの残業時間をコントロールするように指示され、その範囲内で最大限、部下の成長を考えて任せる業務を調整している。

    そうやって時間をかけて部下を育てても、ようやく仕事を任せられるようになったタイミングでより条件のよい他社に転職していく。

    こうした状況に思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。

    この記事では、今のマネージャーがなぜこれほど過酷な立場に置かれやすいのかを整理したうえで、マネージャー自身が燃え尽きる前にできることを考えます。

    1.マネージャーの過酷さは、世界的にも課題になっている

    マネージャーの仕事が「割に合わない」「罰ゲームのようだ」と語られることが増えています。これは、日本だけの現象ではありません。

    米ギャラップ社のState of the Global Workplace 2026によると、2025年には世界全体の従業員エンゲージメントが20%まで低下し、2020年以来の低水準になったと報告されています。

    なかでも注目すべきは、マネージャーのエンゲージメント低下です。調査レポートによれば、マネージャーのエンゲージメントは2024年の27%から2025年には22%へ低下し、近年のエンゲージメント低下の大きな要因になっていると指摘されています。

    現場を支えるマネージャーの「罰ゲーム化」は、世界的にみられる現象といえるのです。

    では、なぜマネージャーにここまで負荷が集まりやすくなっているのでしょうか。

    2.マネージャーに負荷が集まりやすい3つの理由

    今のマネージャーの過酷さは、個人の能力や努力だけで説明できるものではありません。

    背景には、大きく3つの構造変化があります。

    マネージャーに業務や判断、対応の負荷が集中しやすくなる背景を、3つの構造に分けて整理した

    (1)役割の拡大――プレイングマネージャーの常態化

    本来、マネージャーになるということは、自分で成果を出す立場から、チームを通じて成果を出す立場への転換を意味します。しかし実際には、マネジメント専任になるのではなく、プレイヤーとして数字や案件を抱え続けるケースが少なくありません。

    また、組織のフラット化により、1人のマネージャーが見る部下の数や業務範囲も広がっています。

    結果として、「自分の仕事」と「チームを通じて成果を出す仕事」が同時に積み上がり、日々の業務に追われやすくなっています。

    (2)難易度の拡大――最適解がひとつではない

    リモートワークやハイブリッドワークが広がり、以前のように同じ場所で仕事ぶりを見ながら声をかける機会は減りました。

    同時に、部下のキャリア観や働き方も多様化しています。「若手にはこの仕事を通じて経験を積んでほしい」「主任ならこの水準まではできるはず」といった見立てが通用しにくくなりました。

    さらに、ハラスメントやメンタル不調への配慮も欠かせません。厳しく言いすぎてもいけないし、必要なことを言わないわけにもいかない。

    同じ方法を一律に当てはめれば機能する時代は終わり、マネジメントの難易度が上がっているのです。

    (3)不確実性の拡大――「育成の成果」と「定着」は別問題

    人を育てるには時間がかかります。任せて、見守って、失敗をフォローして、少しずつ一人前にしていく必要があります。

    しかし、雇用の流動性が高まるなかで、育成した人材が自分のチームや会社に長く留まってくれるとは限りません。もちろん、転職が悪いわけではありません。ただ、現場のマネージャーからすれば、「ようやく任せられるようになった」と思った矢先に抜けてしまう経験は、徒労感につながりやすいものです。

    3.燃え尽きる前にできること――「自分が全部やる」から「役割を分ける」へ

    マネージャーの過酷さの背景には、個人の努力だけでは対応しきれない、構造的な問題があることがみえてきました。

    とはいえ、構造の問題だからといって、明日から会社の制度や人員配置が変わるわけではありません。
    そこで必要になるのは、すべてを自分で抱え続けることではなく、役割を分けることです。

    仕事を抱えがちなマネージャーは、単に権限委譲が苦手というわけではありません。多くの場合、「任せた後にうまくいかなかった場合、自分がリカバリーするしかない」という責任を一人で背負っています。だからこそ、まずは仕事を分解することが重要です。

    マネージャーが燃え尽きを防ぐために、働き方や役割の持ち方を見直すポイントを示した

    (1)部下の課題と自分の課題を切り分ける

    責任感の強いマネージャーほど、部下が困っているとすぐに助けたくなります。

    「このままだと品質を担保できない」「部下に任せるより、自分でやった方が早い」

    その判断が必要な場面もあります。ただ、それが続くと、部下は成長の機会を失い、マネージャーの仕事だけが増えていきます。

    2000年代にGoogleで行われた社内調査Project Oxygenでは、効果的なマネージャーの行動の一つとして「よいコーチであること」が挙げられています。ここでいうコーチとは、部下の代わりに答えを出す人ではなく、部下が次の一歩を自分で考えられるように支える人です。

    もちろん、放置するという意味ではありません。ただ、最初から仕事を引き取るのではなく、部下の課題と自分の課題を切り分けることで、育成と負荷軽減の両方につながります。

    (2)マネージャーの機能を複数人に分配する

    マネージャーの仕事は多岐にわたります。すべて一人で抱えると、どれだけ優秀な人でも限界が来ます。
    そこで考えたいのは、「マネジメントの機能」を分けることです。

    共有型リーダーシップの研究でも、チームメンバー同士がリーダーシップ機能を分担することは、チームの成果や有効性にプラスに働く可能性が示されています。

    ただし、いきなり大きな権限移譲をしようとすると、任せる側も任される側も不安になります。ポイントは、業務プロセスを「判断」「作業」「確認」に分け、最初は作業や確認から任せることです。

    (3)自分自身を置き去りにしない

    そしてもう一つ、忘れてはいけないのが、マネージャー自身もまた、守るべき対象の一人だということです。
    マネージャーは、部下の成長やチームの成果には日々向き合っているものの、自分自身については「今はそんな余裕がない」と後回しにしがちです。

    しかし、自分のキャリアや健康を置き去りにしたまま、部下のため、チームのため、会社のために走り続けると、ある日突然、気持ちが切れてしまうことがあります。

    マネージャーを続けるべきか。専門職など別のキャリアを目指すべきか。さらに上の役割を目指したいのか。
    今は結論を出せなくても構いません。まずは、次の3つを自分に問い直してみてください。

    • 自分はマネージャーという役割を通じて、何を得たいのか
    • いま抱えている仕事のうち、本当に自分が持ち続けるべきものは何か
    • 半年後もこの役割を続けるために、今減らすべきものは何か

    4.「持続可能なマネージャー」への第一歩

    燃え尽きる前に必要なのは、もっと強くなることではありません。「自分が全部やる」前提を、少しずつ変えていくことです。

    まずは今週の予定表を見て、毎週繰り返している作業を一つだけ選んでください。重要案件やトラブル対応を選ぶ必要はありません。会議準備、定例報告など、繰り返し発生しているものが向いています。

    選んだ作業を、次に「判断」「作業」「確認」に分けてみます。最初に任せやすいのは、「作業」か「確認」です。たとえば、毎週自分で作っている会議資料があるなら、次回は部下にたたき台を作ってもらう。毎回自分で確認している報告内容があるなら、一次確認を部下に任せてみる。

    たとえ一つでも「自分が全部やる」の前提を変えていくことが、燃え尽きを防ぐ第一歩になります。

    マネージャーが持続可能であることは、チームや会社にとっても重要な前提なのです。

    執筆者情報

    • Y.Y

      明確な答えがあるわけではない組織・人事の課題について、データや事実に基づいて一つひとつ考えを積み重ね、クライアントにとって価値のある答えを探し続けることを大切にしている。

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