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一日中忙しかったのに、前に進んだ気がしない|管理職の「見えにくい成果」の振り返り方

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一日中忙しかったのに前に進んだ気がしない管理職の見えにくい成果の振り返り方

この記事でわかること

  • 一日中会議や判断、部下の相談対応に追われたのに、「今日、自分は何を成し遂げたのだろう」と手応えを持てないことがあります。その背景には、管理職の仕事では、自分の手元に成果物が残りにくく、自分の働きが何に効いているのか見えにくいことがあります。本記事では、週の終わりに「何が前に進んだか」「何が気になっているか」「来週どう関わるか」を整理し、見えにくい成果を可視化しながら、自分が本当に手を打つべきところを見極める振り返り方を紹介します。

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    朝9時から、月末の経営会議に向けた部内打ち合わせ。木村さんと数字の着地や説明の仕方を詰めているうちに、予定を少しオーバーしてしまった。

    次の会議まで20分。溜まっていたメールを返しながら、11時の打ち合わせ資料に目を通す。

    そこへ田中さんから、「小山課長、昨日○○商事の島田様に送った資料、数字に誤りがありました」と報告が入る。詳しく聞きたいが、次の会議まではあと10分。まず先方への連絡と影響範囲の確認だけ指示して、会議室へ向かう。

    午後は取引先と、基幹システム導入の打ち合わせ。戻ると、佐藤部長から「受注登録の見直し、そろそろ考え始められそう?」と声をかけられる。

    そうだった。毎月のように起きている入力の差し戻しを減らしたい。でも、今日もまだ手をつけられていない。

    夕方、先週末に「提案資料の組み立て方で悩んでいます」と言っていた若手の山田さんを思い出す。少し進捗を聞くつもりが、想像以上に詰まっていた。一緒に論点を整理していたら、30分ほど経ってしまった。

    席に戻って時計を見る。もう19時。

    会議に出た。判断もした。部下の相談にも乗った。それでも、パソコンを閉じようとしたとき、ふと思う。

    「今日、自分は”成果”と呼べるものを残したのだろうか?」

    受注登録の見直しは手つかず。午前中のトラブルが解決したかも分からない。山田さんの資料も、まだ仕上がっていない。

    こうした「これだけ動いているのに、何も進んでいないような気がする」「今日自分はこれを成し遂げたというものがない」という徒労感や焦りは、なぜ生まれるのでしょうか。この記事では、その原因を整理し、そんなときにどう対処すればよいのかを考えます。

    手応えがないのは、「成果物が見えない」からか?

    提案書を仕上げた。月次処理を終えた。報告書を書き上げた。管理職になる前の仕事には、「今日はこれを終えた」と指させるものがありました。自分の行動と結果が近く、手応えを持ちやすいものです。

    管理職になると、部下から報告を受けて方針を決める、責任者として顧客へのプレゼンに同席するといった仕事が増えます。重要な仕事でも、自分の手元に「完成したもの」が残るとは限りません。

    では、成果物が見えないこと自体が、手応えを持てない原因なのでしょうか。

    例えば、こんな場合を想像してみてください。

    プロジェクトは予定どおり進んでいる。顧客との関係も良好で、部下も自分で仕事を進めている。来期に向けた業務の見直しも、試行を始められた。そんな状態なら、たとえ自分で提案書を一本も作っていなくても、「何も仕事をしていない」という気持ちにはなりにくいはずです。

    むしろ焦りや徒労感を感じるのは、仕事がうまくいっているのか、よく分からないときです。管理職の仕事は、自分が直接何かを完成させることより、判断や指示、調整を通じて、その先の人や仕事を前に進めることに重心が移ります。実際に問題が起きたり、悪化の兆候が見えたりすると、「自分なりに手は打っているが、本当に効いているのか」が確かめにくくなります。

    手応えを失わせているのは、成果物がないことそのものではなく、「自分の働きが何に効いているのか分からないこと」ではないでしょうか。

    不安になるほど、「自分で動く」方が確実に見える

    自分の働きが効いているか分からないとき、確実に思えるのは、自分で手を動かすことです。

    例えば、部下に任せた資料が気になって、自分で直す。次は進め方まで具体的に指示し、調整が進まなければ取引先にも直接連絡する。資料は良くなり、止まっていた話も動きます。

    目の前の問題に効くからこそ、次も自分で動きたくなる。ただ、こうした対応が重なると、その分だけ自分の余白も減っていきます。

    途中で上司が手を入れることが続けば、部下も先に確認してから進めるようになり、相談や判断がさらに集まることもあります。

    私自身、後輩二人と共同で資料を作った際、自分も担当部分を持ちながら、二人の資料をレビューし、全体を見る役割も担ったことがあります。ところが、自分の作業とレビューで時間が埋まり、全体を考える時間をほとんど取れませんでした。

    一つひとつの作業には対応しているのに、全体を見る役割に手が回っていない。振り返ると、目の前の資料は着実に進めているのに、全体を見る役割の自分が、一番全体を考えられていない状態でした。

    管理職の仕事では、そのしわ寄せが、中長期の仕掛けや仕込みに及ぶこともあります。例えば、冒頭に出てきた受注登録プロセスの見直しや、来期を見据えたチームの役割分担です。

    こうした仕事は、今日手をつけなくてもすぐには困りません。だからこそ後回しになり、同じ問題が再び緊急案件として戻ってくることもあります。目の前の対応が増え、先の問題に備える時間はさらに減る、という循環です。

    だからといって、「できるだけ手を出さない」が答えでもありません。実際に問題が起きているなら、自分が動く必要もあります。

    大切なのは、不安に押されてあれもこれも引き受けるのではなく、どこに自分が手を打つ必要があるのかを見極めることです。そこで、一度立ち止まり、まずは今週の“成果”から棚卸ししてみます。

    週の終わりに、「見えない成果」を可視化してみる

    では、自分の働きがどこに効いていて、どこに手を打つ必要があるのか。週の終わりに、一度整理してみます。

    その週の仕事を終える前に、少しだけ振り返る時間を空けておきます。例えば、金曜日の17時30分から30分ほど。まずは自席で今週のカレンダーを開きます。

    1.関わった案件と、その先で起きた変化を書く

    月曜日から予定を見返し、自分が比較的大きく関わった仕事を拾っていきます。同じ案件について何度か会議をしていれば、一つにまとめます。そのうえで、それぞれについて、「今週、何がどこまで進んだか」を一言だけ書きます。

    「資料を完成させた」でも、「先方への説明まで済んだ」でも構いません。自分がほとんど手を動かさず、部下が主体的に進めてくれたのであれば、「鈴木さんがリードしてくれた」と書けば十分です。予定表に残っていない相談やトラブル対応も、思い出したものがあれば足していきます。

    冒頭の小山課長の一週間なら、例えばこんなメモになります。

    管理職が今週の進捗と来週やることを整理する振り返りメモの例

    きれいな文章にする必要はありません。

    「木村さんと資料を完成させた」

    「数字の誤りを先方共有。影響確認中」

    くらいの走り書きで十分です。

    これは、案件の進捗を管理するためだけの表ではありません。カレンダーを見れば、「会議に出た」「レビューした」「相談に乗った」という自分の行動は分かります。ただ、それだけでは、仕事がどう進んだのかまでは見えてきません。自分が直接完成させたものだけでなく、自分が関わった仕事で、何が前に進んだのかを拾う。

    そうしてカレンダーに残っていない仕事の効き方を書き足すことが、ここでいう「見えない成果の可視化」です。ここまでできたら、今週の成果の棚卸しはいったん完成です。

    2.それでも気になることを具体化する

    次に、メモを眺めながら、それでも気になることを拾います。

    空欄になっている案件だけを見る必要はありません。ある程度進んでいても、「このままで大丈夫だろうか」と引っかかるものはあるはずです。

    例えば、受注登録プロセスの見直しなら、

    受注登録の手戻りが毎月続いている。見直しの必要性は部長と確認したが、まだ誰が何を調べるか決まっていない。

    くらいのところまで考えればOKです。

    すべての案件を点検する必要はありません。まずは、いま特に気になっているものを1~2件だけ取り出せば十分です。

    「何となく全部心配」という状態から、「自分がいま気にしているのはここだ」と分かる状態にすることが目的です。

    3.来週の余白を見て、関わり方を決める

    ここで初めて、来週のカレンダーを開きます。

    すでに入っている会議や報告を見ながら、自分が実際にどのくらい時間を使えそうかを確認します。予定表の空白には、突発的な相談や対応が必要なことも入ってきます。空いている時間をすべて使える前提にはしない方がよいでしょう。

    そして、先ほど取り出した気がかりについて、来週、自分がどう関わるかを決めます。

    受注登録プロセスの見直しが気になるからといって、自分で過去の差し戻しをすべて調べる必要はありません。

    例えば、

    月曜、鈴木さんに最近の差し戻しを2~3件拾ってもらう。水曜30分、一緒に確認して見直す箇所を決める。途中で詰まったら相談してもらい、それまでは任せる。

    と決める。

    ここまで決まったら、振り返りメモの「来週やること」の欄に書き足します。

    自分ですぐに動く案件もあれば、人に動いてもらう案件もある。「水曜までは待つ」と決められるものもあります。

    大切なのは、「気になるから、とりあえず自分で動く」ではなく、限られた時間をどこに使うのかを一度選んでから動くことです。

    「何かしなければ」を、「ここにこう関わろう」に変える

    最初から、すべての案件をきれいに振り返る必要はありません。まずは10分でも、今週のカレンダーを見ながら、

    今週、何が前に進んだか。

    それでも、何が気になっているか。

    来週、その件にどう関わるか。

    を一つずつ書いてみる。

    自分の仕事が何に効いていたのかを確かめたうえで、本当に手を打つところを絞る。

    「何かしなければ」という漠然とした焦りを、「ここに、こう関わろう」という判断に変える。そのための振り返りです。

    執筆者情報

    • N.M

      仮説とデータから組織課題を読み解くコンサルタント。組織や人に関わる課題について、理論やデータを手がかりに、事実を一つひとつ検証しながら考えている。調査結果を示すだけでなく、そこから何が言えるのかを問い、価値ある示唆につなげることを大切にしている。管理職が複雑な課題を根拠にもとづいて考えるための視点を届けている。

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