定性人事データから、組織・マネジメントの実態を捉える
経営方針や人事制度を整えても、それが現場の課題認識や目標、日々のマネジメントにまで適切に反映されているとは限りません。
社員が実際に設定した目標をはじめ、評価コメントや1on1記録などの定性人事データには、経営方針の理解、組織課題の捉え方、管理職のマネジメントのあり方といった「現場の実態」が表れます。
クレイア・コンサルティングでは、生成AIとHR専門知を組み合わせてこうした定性情報を横断的に捉え、組織・マネジメント上の課題を可視化し、改善と継続的な検証につなげます。
01|制度や方針を作っても、「実際にどう運用されているか」は見えにくい
中期経営計画の策定、M&Aや経営統合、組織再編、人事制度改革、管理職育成など、企業はさまざまな形で経営の方向性や社員に期待する役割を明確にしています。
しかし、方針や制度を示しただけで、現場の行動が自動的に変わるわけではありません。
例えば、次のような状況は少なくありません。
- 経営方針や重点戦略を示したが、現場の目標にどこまで反映されているか分からない
- 部門によって課題の捉え方や目標設定の水準にばらつきがある
- 人事制度を改定したが、期待したマネジメントが実際に行われているか見えない
- 管理職研修を実施したものの、現場の行動がどこまで変わったか確認できない
- PMIや組織再編後に、旧組織ごとのマネジメントの違いや統合上の課題が残っているか把握したい
こうした実態を把握するために、経営層や人事部門がすべての社員・管理職にヒアリングを行ったり、一人ひとりの記述内容を読み込んだりすることは現実的ではありません。
そのため、サーベイや一部へのヒアリング、現場から上がってくる情報などをもとに、組織全体の状態を推測せざるを得ないケースもあります。
02|定性人事データから、組織・マネジメントの実態を捉える
クレイアでは、社員が実際に設定した目標など、日常の人事・マネジメント活動の中で蓄積される定性データを、生成AIとHR専門知を組み合わせて分析します。
分析対象は課題に応じて設計します。目標設定データに加え、評価コメントや1on1記録なども、組織・マネジメントの実態を捉えるための情報となり得ます。
制度や方針、人材要件などとして定めた「あるべき姿」と、社員・管理職が実際に記述している内容に表れる「運用実態」とを照らし合わせることで、組織・マネジメント上の課題を明らかにします。
単にデータを集計するのではなく、
- どの組織に、どのような課題があるのか
- その背景には何があるのか
- どのような好事例が存在するのか
- 何から改善すべきなのか
まで具体化し、その後のマネジメント改善や制度運用の見直しにつなげていきます。
生成AIは、大量の定性情報を共通の観点から読み、特徴的なパターンを整理することに活用します。一方で、「何を見るべきか」「結果をどう解釈するか」「何を変えるべきか」は、企業の戦略や制度、組織の状況によって異なります。
そのため、クレイアではAIだけで判断するのではなく、HRコンサルタントが分析観点や判断基準を設計し、結果を経営・人事の文脈から解釈することを重視しています。

03|代表的な活用例:全社員の目標から、戦略実行のボトルネックを捉える
定性人事データの中でも、社員が実際に設定している「目標」には、経営方針や事業戦略が現場でどのように受け止められているかが表れます。
目標には、単なる業績数値だけでなく、
- 上位方針や上位目標をどのように理解しているか
- 自組織の現状や課題をどのように捉えているか
- 何を優先して取り組もうとしているか
- 課題の原因をどこまで掘り下げているか
- 自らの役割に対してどのような挑戦を設定しているか
- どのような打ち手で状況を変えようとしているか
といった情報が含まれています。
クレイアでは、こうした目標設定データを「個人を評価するための情報」として見るだけではなく、経営と現場をつなぐマネジメントの実態を捉える情報として活用します。
言い換えれば、
「目標を評価する」のではなく、「目標から組織を見る」
というアプローチです。
経営方針が現場の課題認識・目標までどのようにブレイクダウンされているかを横断的に見ることで、戦略実行がどこで滞っているのかを具体化します。
04|何をするのか
支援内容は、企業ごとの経営・人事課題に合わせて設計します。基本的には次のような流れで進めます。
1.経営・人事課題の確認
経営方針、事業戦略、人事制度、目標管理の考え方などを確認し、今回の分析で明らかにしたい問いを設定します。
例えば、
- 経営方針は現場の目標まで落ちているか
- 新制度で期待する役割行動が実際の目標に反映されているか
- 部門間で課題設定やマネジメントの質にどのような差があるか
といった問いです。
2.分析観点・判断基準の設計
企業ごとの課題に応じて、何を見れば実態を判断できるのかを設計します。
目標設定データであれば、上位目標とのつながり、現状認識、課題設定、原因分析、目標水準、具体的な打ち手などが分析観点の例となります。
3.生成AIを活用した定性データの横断分析
大量の目標やコメントを共通の観点で分析し、全社・部門・職種・役割などの単位で特徴を整理します。
これにより、限られたサンプルだけでは捉えにくかった組織全体の傾向を把握します。
4.HR専門家による解釈と重点課題の特定
AIによる分析結果だけで結論を出すのではなく、クレイアのコンサルタントが経営・人事の背景を踏まえて結果を確認し、組織・マネジメント上の重点課題を特定します。
5.改善施策の設計・実行と継続検証
分析結果を、管理職へのフィードバック、目標設定方法の見直し、好事例の展開などの具体的な改善につなげます。
必要に応じて一定期間後に再分析し、改善が実際に進んでいるかを確認します。
05|このサービスで何が見えるのか
分析結果は、単なる「良い・悪い」の判定や平均値の集計ではありません。
どこに問題があるのか
全社平均だけではなく、部門・職種・役割などの単位で比較することで、どこに特徴的な課題があるのかを捉えます。
例えば、
- 上位方針との接続
- 現状認識
- 課題設定
- 原因分析
- 目標水準
- 打ち手の具体性
などの観点から、組織ごとの特徴を確認します。

そこで何が起きているのか
スコアだけでなく、実際の記述内容から典型的なパターンを抽出します。
例えば、
- 上位方針は記載されているが、自組織の課題とのつながりが弱い
- 現状説明で止まり、解決すべき課題が明確になっていない
- 課題は設定されているが、原因分析と打ち手がつながっていない
- 役割期待に対して、日常業務の遂行が中心となっている
といった状態です。
一方で、同じ会社の中に存在する優れた課題設定や目標設定も抽出し、改善の参考とすることができます。
何から改善すべきか
分析結果を組織別・テーマ別に整理することで、
- どの部門にどのような働きかけが必要か
- 管理職にどのような視点を持ってもらうべきか
- 目標設定のガイドやフォーマットをどう見直すべきか
- どの好事例を社内へ横展開できるか
といった改善の優先順位を具体化します。
06|さまざまな経営・人事課題の「実態把握」に活用する
定性人事データを活用した実態分析は、目標管理だけに限定されるものではありません。
人事制度・マネジメント改革前の実態診断
制度や方針として設計している「あるべき姿」と、現場の運用実態との間にどのようなギャップがあるのかを確認します。
本格的な制度改革やマネジメント改革に入る前に、
「まず、現在どこに問題があるのかを把握したい」
という場合の診断として活用できます。
人事改革・M&A/PMI案件への組み込み
人事制度改革やM&A・PMI支援の中で、現状分析や導入後の定着確認に組み込みます。
例えば、旧会社ごとに目標設定や評価運用の特徴が異なっていないかを確認するなど、既存のコンサルティングをより深い実態分析で補完します。
制度導入後の運用品質診断
新しい人事制度を導入して数年が経過した企業では、
「制度は導入したが、本当に意図どおり使われているのか」
が分からないケースがあります。
目標や評価コメント等を分析することで運用品質を確認し、改善提言、管理職・人事への働きかけ、再診断へつなげます。
特定の経営課題に対する実態検証
制度改革そのものではなく、
- 中期経営計画が現場目標へ落ちているか
- PMI後の新方針が各組織で同じように実践されているか
- 新しい人材要件が評価・育成へ反映されているか
- 管理職育成施策の実施後に、マネジメントのあり方がどう変化しているか
など、特定の経営テーマが現場でどこまで実装されているのかを検証するためにも活用できます。
07|分析で終わらせず、マネジメントの改善につなげる
組織の状態を可視化しただけでは、経営方針の実行力は高まりません。
クレイアでは、分析結果を起点に、
- 部門・管理職へのフィードバック
- 目標設定ガイドや運用ルールの見直し
- 好事例の共有
- 管理職への支援
- 社員自身による目標の見直し
- 人事による継続的なモニタリング
など、実際のマネジメント改善につなげます。
さらに、一定期間後に同じ観点で再分析することで、施策の実施によって組織・マネジメントの状態がどのように変化したかを確認することもできます。
「見る」→「分かる」→「変える」→「確かめる」
というサイクルを回すことで、人事制度やマネジメントの仕組みを、設計して終わりではなく、現場で実際に機能する状態へ近づけていきます。
08|約1,100名の目標を対象とした実践
リョーサン菱洋株式会社との取り組みでは、約1,100名の社員が実際に設定した目標を対象に、複数の観点から横断分析を実施しました。
分析結果から、組織・マネジメント上の重点課題や改善ポイント、参考となる好事例を整理し、その結果を目標設定の改善や継続的な取り組みへつなげています。
この取り組みは、単に目標をAIで判定するものではなく、目標管理を戦略実行・マネジメント・人材育成の仕組みとして機能させるために、現場の実態を把握し、改善へつなげる試みです。
実際にどのような背景から取り組みを開始し、全社員の目標から何が見え、どのように改革へつなげているのかについては、12月8日開催の共同セミナーでもご紹介します。
自社の人事制度やマネジメントは、実際の現場でどのように機能しているか。
目標などの定性人事データを活用した組織・マネジメントの実態分析・改善について、ご相談ください。