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事業構造改革が必要とされる背景

事業にはライフサイクルがあると言われ、事業規模の変化を「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのステージで捉えると、事業成長のカーブはS字を描くとされています。

一方で、企業がゴーイングコンサーン(Going Concern)として永続的に存続・発展していくためには、成熟期から衰退期を迎える事業に代わる、新たな事業を創造していくことが求められます。

もっとも単純に考えれば、衰退期に向かう事業を計画的に縮小・消滅(事業売却などを含む)させ、他方で新規事業をインキュベーション(事業買収などを含む)すればよいということになります。しかし、その事業における人的資源に関して大きな問題が発生します。

日本企業において一般的な採用形態は「会社単位の採用(メンバーシップ型採用)」であり、事業別採用を行っているケースは多くありません。そのため、衰退期に向かう事業に従事している人材は、会社の配属命令によって従事している訳であり、事業の衰退とともに雇用を消滅させるという訳にはいきません。(このような不安があれば、成熟期を超えた事業に人材を配置していくことが極めて困難になります)

事業構造改革(または転換)期には、成熟期から衰退期に向かう事業に従事している人材を、今後成長期に向かう事業へと振り向けていくことが求められ、その過程では人材に関する多様な課題があります。

事業構造改革における組織変革

事業構造改革に伴う組織変革とは、企業統合やM&Aによる組織構造改革、品質向上に向けた社員の意識改革などに限ったものではなく、組織を構成するありとあらゆる要素の改変を指します。

つまり、ビジネスモデルや組織構造の見直し、経営戦略の転換といった組織全体を揺るがす方針転換から、新しいITシステム導入やそれに伴う業務マニュアルの書き換え、残業時間の申請ルールの変更といった現場レベルの改善活動まで、それら全てが「組織変革」です。組織は、常に大小様々な組織変革を繰り返しながら、存続・成長しているといえます。

組織変革は「内発的な組織変革」と「外発的な組織変革」の2つに分類することができます。

分類変革の要因変革の焦点変革の度合い
内発的な組織変革組織運用の効率化・適正化組織の個々の要素、サブシステム既存の制度・仕組みに基づいた見直し
外発的な組織変革変化する外部環境への適応化組織全体戦略の変更に伴う、抜本的な見直し

健全な組織であれば、組織運用の効率化・適正化に向けた取り組みが常時進められており、このような取り組みは、外部環境の変化に関係なく発生する内発的な組織変革といえます。

内発的な組織変革は、特定の領域・要素に焦点をあて、既存のものを土台に改善を加える形で実行されるケースが一般的です。

一方、業界再編やグローバル化、競争激化などの外部環境の変化によってもたらされる外発的な組織変革は、どのような組織であっても、数十年の頻度で発生します。

また、過去と決別するような抜本的見直しが幅広い領域において並行して行われることが多く、その影響範囲の広さゆえに複雑性・難易度ともに高いため、組織変革をやり遂げること自体が難しい、やり遂げたとしても、期待されていた効果が思うように創出されないケースが多いといわれています。

一般的に、外発的な組織変革は、新しい環境下での存続をかけた組織戦略の転換から始まり、新たに策定した組織戦略に合わせて、制度や仕事、人(意識、スキル・能力など)の組織の個々の要素を変えていくことで進んでいきます。

「組織のハード」と「組織のソフト」

「組織のハード」「組織のソフト」という言葉があります。

組織は、組織構造やITシステム・諸制度などのハード面と、価値観・理念、組織文化、コミュニケーション、社員の能力・スキルや意識などを含めたソフト面によって構成され、これらの構成要素は相互に影響し合うことで成り立っています。

組織を構成する個々の要素を、組織の存続・成長に向けた経営戦略とどれだけ調和させることが出来るかが、戦略実現の鍵、遂には組織存続の鍵となります。

組織変革では、組織戦略に合わせて、制度や仕事、人(意識、スキル・能力など)といった組織の個々の要素を変え、組織全体の整合性を確保することが成功の条件となります。

つまり、どれだけ素晴らしい戦略を打ち立てたとしても、その他の部分が変わらなければ、その戦略は期待されたようには実行されず、結果として組織は変わることが出来ません。

しかし、外発的な組織変革は、既に均衡状態が保たれている既存システムに改善を加える内発的な組織変革とは異なり、新たに打ち立てられた戦略に基づいて、全ての組織の構成要素を抜本的に変えることになるため、社員からの反発が大きくなることが想定されます。

とりわけ一般社員は、常に社長の考えに触れ、組織の重要な意思判断を任されているという責任感の中で仕事をしている経営層とは異なり、経営者意識や危機意識を持ちにくく、変わることの必要性を実感しにくいため、これまでとは違うものに対する強い不安感と嫌悪感を持ち、変化そのものを拒絶・抵抗する傾向にあります。

そのため、戦略は立てたものの、社員の拒絶や抵抗に阻まれ、組織構造、ITシステム、業績管理制度や人事制度など、経営主導での変革がしやすい領域でさえも、狙い通りに変えられず、組織変革が座礁に乗り上げるといったリスクがあります。

リスクを回避するためには、組織改革が社員に与える影響を事前に把握、分析し、適切なコミュニーション・プランの策定や、必要に応じて移行措置や代替措置の検討を慎重に行うことが重要となります。

一方、社員の拒絶や抵抗さえ緩和できれば、組織変革が成功するのかいうと、そうではありません。競争が激化し、経営環境が日々厳しくなっていくことが明らかな昨今において、社員が表立って組織の存続・成長をかけた組織変革に抵抗することは滅多にありません。現に、社員の持つ不安感や拒絶感を認識しつつも、経営上の必要性により、組織のハード(戦略、組織構造、システム、制度)を見直す企業は多々あります。

しかし、トップダウンで変革できる領域の変革を強行したものの、社員の意識や価値観、能力、仕事の進め方、組織文化といった経営が直接手を加えることが難しい要素を変えることが出来ず、組織変革が中途半端に終わるケースが多いのも現実です。

そして、そのような状況を打破できずにいると、持ち合わせているはずの組織力が思うように発揮されないばかりか、時間と労力をかけて変えたはずの制度やシステム、組織構造までもが、社員による誤った運用から徐々に崩れ始め、結果として、組織変革前の状態に戻ってしまうことも少なくありません。

組織全体に波及する組織変革をやりきるためには、組織のハードと組織のソフト2つの要素の相互関係を見極めた上で、「何を」「どのように」変えるべきか決める必要があります。

クレイア・コンサルティングの提案する組織変革の進め方

1.組織変革の阻害要因となりえる人事リスクの分析

組織変革を進めるにあたり、組織変更の方向性と内容、組織の成り立ち、企業文化、現行人事制度、社員構成・社員データ、外部環境(市場や他社の状況)等を踏まえて、阻害要因となりえる人事リスクを、定量的・定性的に分析していします。その分析をもとに、組織変革後の目指す姿・あるべき状態を考慮し最適な対応策を提案していきます。

戦略の切替えに伴い、まず着手される変革の一つに、機能部門の統合や規模縮小といった組織構造や組織体制の変更があります。

組織構造・組織体制の大幅な変更は、社員の役職や仕事、そして給与にまで影響が及ぶため、とりわけ管理職の社員が強い拒否感を示します。そして、その拒否反応にどのように対応するかが、新しい組織構造や体制の正しい運用を促し、根付かせていけるかに影響していきます。

例えば、組織構造の見直しが行われると、部門・部署の統合が発生し、ポストの数が減少します。その結果、ポストを外れた社員のモチベーションダウンが懸念されます。もしくは、運用によって社員への影響を抑えるために副部長や副課長の発令が多用され、組織構造の簡素化どころか、役職と役割の不一致や役割の不明瞭化を助長することにも繋がりかねません。

このようなことを防ぐためには、ポストを外れる社員に対する一時的な給与補填や、役職の定義、名称の見直し、役職任用ルール・プロセスの変更、社員の不安を取り除くコミュニケーション・プランの策定など様々な対応策があります。変革後の社員への影響を社員個別の処遇シミュレーションや総人件費シミュレーションの実施など定量的な分析も踏まえて、対応策の検討を行います。

組織変革の阻害要因となりえる人事リスクの分析とその対策

2.他領域における変革との相互関係・相乗効果に着目した人事施策の策定

組織変革には「解凍(危機感を喚起し、変革の必要性を周知する)」「変革」「再凍結(新しい変革を定着化・慣習化する)」の3段階があるといわれています。そのうち、最も難しいのが再凍結です。より確実に変革の定着化、習慣化を進めるために、人事領域が他領域にどのような影響を与えるかを明らかにし、人事に関する仕組みの活用案・変更案を提示します。

例えば、従来は単年度予算だけで行ってきた業績管理の仕組みを、より中長期視点での戦略的な働き方を推進するために3ヵ年予算業績管理に変えるとします。その際、業績管理の変更と共に、人事評価制度についても見直しを行います。この場合は、「中長期視点で対顧客戦略を策定出来ていたか」「中長期視点での活動が出来ていたか」という視点で社員を評価するプロセス評価を導入します。そうすることで、一般社員の新しい業績管理に関する正しい理解、本来の目的である中長期視点での戦略的な活動の実践をより強く促すことができるようになります。

このように、報酬制度や評価制度、労務管理など、社員に直接的に影響する人事の仕組みは、他領域の変革を推進・定着化する上での要となり得るため、組織の中で起こっているあらゆる変革との関連性を見極めた施策検討が重要です。

人事領域は他領域の変革推進・定着化にとって要である

3.人事領域に留まらない、全体像を見据えたコミュニケーション・プランの策定

大規模な組織変革を行う過程では、複数の領域における変革が並行して一気呵成に進められていきます。ともすれば、社員の目から見ると、一貫性のない活動が至る所で進められ、「組織の変革期」ではなく「組織の混乱期」と受け止められてしまう可能性があります。

そのような状況下において、社員は強い不安感を抱き、組織の目指す方向や戦略、ビジョン、組織変革の内容に懐疑的、消極的となってしまいがちです。

大規模な組織変革を進めるに当たっては、それぞれ単独領域の変革の渦中であっても、会社全体の戦略・ビジョンをより明確化し、社員の自発性を促す、全領域が足並みを揃えたコミュニケーションが求められます。

クレイア・コンサルティングでは、様々な変革シーンを見極めながらコミュニケーションの内容、実施時期、手法などを詳細に検討し、人事領域に留まらず、組織全体の戦略および他領域における変革間の一貫性・関連性を意識したメッセージ性の強いコミュニケーション・プラン策定を行います。

全体像を見据えたコミュニケーション・プランの策定
AUTHOR
針生 俊成
針生 俊成 (はりゅう としなり)

クレイア・コンサルティング株式会社 執行役員COO マネージングディレクター
筑波大学第二学群人間学類卒業

トーマツコンサルティング、アーサーアンダーセンを経てクレイア・コンサルティングの立ち上げに参画。
幅広い業種における統合的人事制度改革、コンピテンシー設計、人材アセスメント、人材育成、意識改革、ES(従業員満足度)向上等、多数の人事コンサルティングプロジェクトに従事。合併や分社等の組織再編に伴う人事制度改革、高度専門職の人事制度設計やコンピテンシー設計、ブランドマネジメントと連動した人材マネジメントのコンサルティング等の実績も豊富。

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