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SUMMARY

早期退職制度とは、無期雇用の社員が定年を迎える前に、自らの意志によって退職することを支援する制度です。

通常は、人員余剰が生じている、あるいは今後の人員余剰が見込まれる場合に、割増退職金などの「退職インセンティブ」を提示して、定年を迎える前の退職を検討するように促します。

早期退職制度には、「期間限定型」と「常設型」があります。「期間限定型」では、業績悪化や事業構造改革のタイミングで期間を限定して退職者を募集します。一方で、「常設型」では、一定年齢以上の社員はいつでも早期退職に応募することができます。

早期退職制度が生まれた背景

日本の労働基準法のもとでは、多くの社員は期間の定めのない労働契約(無期雇用契約)を締結しており、会社が雇用契約を解消するタイミングは実質的に「定年」に限定されています。

定年以外のタイミングで会社が雇用契約を解消するためには「解雇」という方法をとる必要がありますが、過去の判例で「解雇」を行うための要件(整理解雇の4要件)が定められており、現実にこの要件を満たすことは難しくなっています。

例えば、「整理解雇の必要性」としては企業存亡の危機と言えるほどの業績悪化が必要であり、「整理解雇の回避努力」としては有期雇用契約社員の雇止めを先行する必要があります。

つまり、事業縮小や業績悪化に備えて人員整理を行う場合や、オペレーションを担う有期雇用社員を温存したまま、管理機能などを担う無期雇用社員を整理したい場合などは、「解雇」という手段をとることはできません。

会社が余剰人員の削減を図る目的は、事業の立て直しと再成長(その結果としての雇用確保・雇用拡大)を目指すためであり、余剰人員の整理が遅れるほどに、その目的の達成は難しくなります。雇用の維持は極めて重要な企業の社会的責任ではありますが、長期にわたって社員を雇用できる経営体力を維持していくためには、「余剰」の人員については機動的な整理が必要な場合もあります。

現行法のもとで余剰人員の機動的な整理を行う手段は、ほぼ「雇用契約の解消に同意する社員の募集」すなわち「早期退職の募集」に限られています。社員に定年前の退職を検討してもらうためには、割増退職金や転職支援サービスなどのインセンティブが必要になります。しかし、退職インセンティブが過剰になれば、必要以上の人材流出に繋がります。

余剰人員の削減においては、目標とする退職者数を達成することも重要ですが、それ以上に、事業の立て直しと再成長のために必要な社員には退職を思いとどまってもらい、会社に残って頑張ろうという気持ちを持ち続けてもらうことが重要です。

すなわち、一部の社員には「定年前に退職したほうがよい」と思ってもらい、他方で残りの社員には「事業の立て直しのために残って頑張ろう」と思ってもらう、という状況を作り出す必要があります。

このように、早期退職制度は「目標とする退職者数を達成するための制度」であると同時に、「早期退職を行うことによって、残る社員が事業の将来に希望をもって働き続けようという気持ちにさせるための制度」であり、割増退職金の水準などの目立つ部分にとどまらず、社員に対するコミュニケーションプランなどの段取りまで総合的かつ慎重に制度設計を行わなければ、目的達成が難しくなります。

また、日本社会の少子高齢化に伴い、高齢者雇用安定法が継続的に改正され、会社には70歳までの雇用義務が課されています。(現時点では65歳以降の雇用については努力義務ですが、今後は法的義務となることを想定した対策が必要です)

社員が会社で過ごす年数は伸びていますが、その間に事業の変化や管理職の世代交代も進んでいくため、高齢社員の中には、社内に活躍の場を見いだすことが難しい社員や、セカンドキャリアとして異なる環境にチャレンジしたいという社員も多く発生するでしょう。

現行の定年制のもとでは、「定年まで勤めるのが当たり前」や「定年前に退職するのは退職金などの面で損をする」と思っている社員も多くいるでしょう。早期退職制度を導入することで、70歳まで働く社会の中で、今後の自分のキャリアを自律的に考えるきっかけを与え、新たなチャレンジを促し、社員本人と会社(ひいては社会全体)の活性化に繋げていく、という考え方も増えてきています。

早期退職制度の機能とメリット

大幅な人件費削減

事業の状況や先行きの見通しに対して、人員と人件費が明らかに余剰と言える状態に陥ってしまったとき、人件費を削減する手段として、給与や賞与のカットが想定されます。

しかし、給与や賞与のカットが長期間に及ぶと、社員のモチベーションは低下し続け、優秀な人材から流出していく可能性が高まります。

評価のメリハリをつけ、ローパフォーマーの処遇を引き下げていくという方法もあり得ますが、評価によって下げることができる人件費はせいぜい1~2割程度であり、それほど大きくない人件費削減のために、ローパフォーマーの評価とマネジメントにおいて多大なる労力を費やすことになります。

早期退職制度を活用して、会社に残っても活躍の場が見いだせない社員の社外転身を支援することで、当該社員の人件費はゼロになります。50歳の社員が早期退職する場合、残り10年分の人件費がゼロになるわけですから、年収の1年分くらいの割増退職金を支給しても、かなり大きな人件費削減効果を得ることができます。

社員のセカンドキャリア支援

会社の中で活躍の場を見いだせない社員が発生した場合、社外に活躍の場を得られるように支援していくことを検討することは、企業の社会的責任としても重要なことと考えます。

企業の中で活躍の場を見いだせない社員が発生する背景には、必ずしも事業の縮小・業績悪化ばかりではなく、長期雇用のもとで避け得ない事業構造の変化や、管理職層の世代交代、年代別の人員構成のゆがみ、などの事情もあります。

早期退職制度は、「人件費削減のための施策」という側面だけでなく、「社員のキャリアの選択肢を社外にも増やすことで、社員や会社にとっても、より活力ある状態を維持していくための制度」という側面もあります。

残る社員のモチベーション維持・向上

早期退職制度は、今後も事業を維持・成長させていくための手段として活用すべきものです。

すなわち、早期退職制度の活用に際して最も重視すべきは、残って働く社員のモチベーションの維持・向上です。

早期退職制度を導入すれば、経営状態への不安を増幅する、優秀人材の流出を招くというリスクがあります。しかしながら、経営状況がよくないという認識が社員にもある中では、余剰人員への対策がなされずに放置され、「仕事がない・頑張れない社員」の存在が目立つようになることの方が、今後の事業存続に対する不安を喚起するでしょう。

早期退職制度によって、社外にキャリア転身を図る社員を支援しつつ、社内に残る社員には「仕事と報酬」で報いることができる状態を早期に回復することが、事業の立て直しや再成長に向けて社員の期待を持続させていくことに繋がります。

クレイア・コンサルティングが提供する早期退職の特長

クレイア・コンサルティングでは、大規模な事業構造改革期の人事コンサルティング、あるいはM&Aグループ再編などの組織変革を成功させるための人事コンサルティングの実績を多数積み重ねています。

早期退職制度のように、緊急度が高く、かつ大きな副作用が懸念されるような仕組みであっても、会社と社員を取り巻く状況を冷静に分析しながら、効果を最大化しつつ副作用を最小化するための現実的な方策を考案します。

リスクをマネジメントしながら、効果を最大化

早期退職制度は、社員にも大きな不安を与えます。やり方を間違えば、不信感を招き、優秀人材の流出にも繋がります。

早期退職制度の目的は「短期的な人件費削減」である場合が多いですが、目標退職数を実現できたとしても、社員の不信感や優秀人材の流出を招いてしまっては、成功とは言えません。また、目標退職数の実現への強いプレッシャーは、法的リスクにも繋がります。

一方で、早期退職制度を導入しても、適切なマネジメントがなければ、目標とする人件費削減効果は得られず、社員の不安感をあおり、事業立て直しに向けた希望を消滅させてしまうことにもなりかねません。

弊社のコンサルタントは、バブル崩壊期やリーマンショック期など、大幅な景気悪化局面での早期退職制度の導入と運用において多数の実績を残しており、早期退職制度で想定されるあらゆるリスクを総合的にコントロールしながら、効果を実現する方法をご提案します。

社員の心理の機微に通じたコミュニケーションプラン

早期退職制度は、社員が自律的に「定年前の退職」を決断する制度です。(早期退職の強制は、本人の意に反する退職勧奨であり、法的なトラブルと係争に発展するとともに、社員の信頼感を低下させます)

早期退職制度を多くの社員に公正に適用しつつ、ある社員には「この機会に、会社の支援を受けて社外に転身しよう」という気持ちに傾くように、他方、別の社員には「この機会は、事業が立ち直るチャンスがだから、会社に残って頑張ろう」という気持ちに傾くように、コミュニケーションを図っていくことが求められます。

コミュニケーションは、制度の説明資料だけでなく、上司(管理職)を通じて行われます。退職目標の達成に向けたプレッシャーと、部下の不安や流出懸念の間で板挟みとなっている管理職に対して、適切なサポートがなければ、早期退職制度で効果を実現することは難しくなります。

弊社のコンサルタントは、理論・理屈だけでなく、職場の機微や働く人々の不安心理を熟知しており、制度を設計するだけでなく、現実的な運用方法についても多くの知見・経験・知恵を有しています。

客観的で合理的な早期退職プランの設計

早期退職制度の導入は、経営陣にとっても苦渋の決断である場合が多く、「本当にこれでよいのか」という逡巡がついて回ります。早期退職制度の必要性や退職条件について、多数の事例を経験している専門家が、冷静かつ論理的にプランを示すことで、決断に至ることができます。

例えば、割増退職金の水準や、再就職支援パッケージについても、業種特性や賃金水準、地域特性、社員の年齢構成などを踏まえて、多数の選択肢の中から合理的なプランを選択し、その合理性を解説します。「他にもやり方があるのではないか」「本当にこの水準で退職者目標を達成できるのか、優秀な人材を繋ぎ止められるのか」といった決断時の不安に対して、明快なアドバイスを行います。

早期退職制度を導入する際の流れ

1.早期退職制度を行う目的の明確化

早期退職制度を導入することで実現すべき効果を明確にし、経営陣と共有します。

事業の早期立て直しが求められる場合には、「必要な人員数と人件費の削減」と「優秀な人材の流出防止」の両立が目的となりますが、削減規模については慎重な検討が必要です。

また、長期的視点での新陳代謝や世代交代を図っていくための早期退職制度であれば、どのような年代や人物を想定した転身支援を検討することが望まれるのか、現状の人員構成や事業構造変化の見通しなどに基づいて検討・議論します。

2.早期退職条件の設計

割増退職金の水準、再就職支援サービスの内容、転職活動のための休暇制度など、社員に早期退職の検討を促すに値する条件設計を行います。

割増退職金の水準は、会社の経営状況、賃金水準、募集期間などの状況によっても、適切な水準は異なります。過去の実績などに基づき、合理的な水準を検証し、ご提案します。

再就職支援サービスは、複数の再就職支援会社を、その特徴を活かして使い分けていくアドバイスや、再就職支援サービスの内容に関するアドバイスを行います。再就職支援会社と連携して、社員に対する効果的なコミュニケーション(説明会等)を企画することも可能です。

3.早期退職制度の運用プロセスの設計

早期退職の対象者の基準、募集期間、募集方法などの運用プロセスを設計します。

事業立て直しのための緊急避難的な早期退職制度は、短期間で運用プロセスの組み立てから実行までを完了させる必要があります。緊急避難的な早期退職制度は、1回で完了させ、再募集が必要な状況に陥らないようにすることが鉄則です。そのための効果的な運用プロセスを設計します。

長期的な視点での新陳代謝や世代交代を図るための早期退職制度は、高齢社員向けのライフプランセミナー等の研修との連携や、毎年の異動計画のタイミングと連動した募集期間の設定などを検討する必要があります。職場での混乱や不安感を最小限にとどめつつ、退職を決断する社員も、残って頑張る決断をする社員も、今後に向けて意欲を高めるきっかけとなるような運用プロセスを設計します。

4.コミュニケーションプランの設計

早期退職制度は、社員に多大な不安感を与えます。コミュニケーションに失敗すれば、不安感が不信感に変わる可能性もあります。

会社の意図を一方的に押し付けるのではなく、社員の立場に立って、早期退職制度を選択肢の一つとして前向きかつ真剣に検討してもらえるように、伝え方を工夫していくことが必要です。また、流出を防止すべき社員に対するコミュニケーション方法も、極めて重要です。

特に事業立て直しのための緊急避難的な早期退職制度は、短期間で一気呵成に実行しなければならず、職場も混乱状態に陥る可能性が高くなります。

「どのメッセージを、誰が、どのように伝えるべきか。それを確実に実行するためには、どのような準備とサポートツールが必要か。」数多くの早期対処行制度の導入経験のあるコンサルタントが、的確なアドバイスを行うとともに、想定Q&Aなどを整備し、想定されるあらゆる状況に対する準備を行います。

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