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ジョブ型雇用への転換(ジョブ型人事制度導入)

SUMMARY

ジョブ型人事制度とは、従業員の処遇を従事職務に基づいて決定する考え方です。

長期雇用を志向する日本企業では、長い間、従業員の能力等の人的要素に基づいて処遇を決定する「人ベース」の人事処遇制度が主流でした。

しかし、グローバル化に代表される事業環境の変化や、働く人々の価値観の変化などを受け、ジョブ型人事制度の導入を通じて、ジョブ型雇用へと転換を図る企業が増えています。

ジョブ型人事制度が生まれた背景

ジョブ型人事制度の導入によって期待されていることは、大きく3つあります。

① 年功的処遇の打破
② 働き方改革
人材フローの改革

① 年功的処遇の打破

厚生労働省がまとめた「平成25年版 労働経済の分析」によると、日本企業は勤続15年以降の賃金上昇が、他国と比べて明らかに高い傾向にあります。

すなわち、日本企業の処遇は、他国の企業と比べて、経験年数(年齢)に比例しながら、長期間上昇していくため、年功的になっていると考えられます。

これは、日本企業が「新卒一括採用と、定年までの長期雇用」を前提として、長い年月をかけ、幅広い職務に従事できる人材(いわゆる「わが社の社員」)を育成してきたことと密接に関係していることが推測されます。

企業内には多様な職務があり、職務に求められる適性や能力も様々ですが、日本企業の多くは「総合職」という名称のもと、どのような職務にも従事できる人材を育成することを重視してきました。その結果、「雇用の維持」と「人材配置の柔軟性」を両立させながら、複雑精細な人脈形成による組織力を鍛え、日本企業の強みとしてきました。

しかしながら、ここで「勤続15年以降も上昇し続ける賃金は、果たして生産性の向上と見合っているのか」、という疑問が生じます。

人が担うべき職務がどんどん高度化していく(単純な業務は機械化・IT化されていく)中で、「幅広い職務に従事できる、総合的な能力」で継続的に生産性を高めることは、もはや困難である、と言わざるを得ません。

なぜなら、一部の幹部社員を除き、多くの社員にとっては、「幅広い職務に従事できる、総合的な能力」を求めることは、生産性という観点からは合理的ではなくなってきているからです。

また、長期間にわたって上昇し続ける賃金を前提とした場合、中堅人材(勤続5~15年目)の賃金上昇を抑えるほかありません。

しかし、専門職の世界では勤続5~15年目は立派に一人前の人材です。さらに、労働市場における流通価値も高いです。

人材の獲得競争における国境の垣根が低くなっていく中で、日本企業だけが「幅広い職務に従事できる、総合的な能力」を求める人材育成と年功的処遇にこだわっていては、中堅人材の流出を止めることはできないでしょう。

それ故、職務と処遇の関連性を高め、付加価値の高い職務に従事する人材の処遇を高める一方で、職務価値が上がらなければ(経験年数によって、総合的な能力の伸長があったとしても)処遇を据え置く、という人件費配分を行うために「ジョブ型人事制度」の導入を検討する企業が増えています。

(参考)「メンバーシップ型雇用」と「ジョブ型雇用」について

上記で触れている「年功的処遇」を行うための人事制度と、職務と処遇の関連性を強めた「ジョブ型人事制度」は、ポテンシャル重視の新卒一括採用、終身雇用などを前提とした、「メンバーシップ型」といわれる雇用慣行と密接な関係があります。

経済産業省の「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」でも触れられている通り、かつて多くの日本企業はこの「メンバーシップ型」の雇用慣行を成長のドライバーとしてきていました。

しかし、事業環境の激変、非連続的なイノベーションの多発、個人の価値観やニーズの多様化が進む状況下では、変化に対応した人材の育成・獲得や、従業員の専門性の向上といった側面で、「メンバーシップ型」雇用の課題が顕在化してきているようです。

こうした中で、多様な価値観や高度な専門性を持つ人材を獲得し、活躍してもらうためには、ポストに求められる職務内容を明確にし、その職務の遂行に必要なスキルを有する人材の活躍を促す「ジョブ型」雇用に転換していく必要がある、と、当研究会の報告書ではうたわれています。

【求められる雇用コミュニティの変化(イメージ)】

求められる雇用コミュニティの変化(イメージ)
出典:経済産業省『持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート ~』(令和2年9月)を参考に当社作成

本記事で紹介しているクレイア・コンサルティングが提供するジョブ型人事制度の導入は、こうした「ジョブ型」雇用への転換、促進をはかるための施策として、特に有効であると考えています。

② 働き方改革

「働き方改革」という言葉が定着した今日、長時間労働の抑制や、リモートワークの拡大(疫病拡散に伴う一時的なリモートワークに限らず、より多面的な社会的ニーズによるリモートワークの拡大・定着)といった社会的背景により、「個人の職務を明確にし、より自律的かつ生産的に働けるようにしていくこと」が求められています。

さらに、環境変化のスピードが増す中、戦略を即座に浸透させ、個々の社員が自律的に行動できる組織を作り上げていくためには、個々の社員のミッションをより明確にしていくことが必要です。周囲の社員を見ながら、空気を読んで、足並みをそろえて職務を遂行するのではなく、個々の社員が自分のミッションに向かって最大効率で成果を達成していくことが、より重要になっています。

そのためには、個々の社員のミッションと職務を明確に定め、その達成・実現に対するモチベーションを引き出すために「ジョブ型人事制度」が必要とされています。

➂ 人材フローの改革

事業のライフサイクルが概ね30年(*1)と言われる中で、新卒一括採用から定年までの約40年を同一企業で働くことを前提とするならば、会社人生の中で、必ず事業の転換を経験することになります。

主な産業別倒産企業の平均寿命推移
引用元:株式会社東京商工リサーチ 『2020年「業歴30年以上の“老舗”企業倒産」調査』(2021.2.3)

しかしながら、事業の転換が行われるとき、過去の事業に適した能力や専門知識を捨て去り、新たな事業に適した能力や専門知識を獲得することは、容易ではありません。

長期的な事業構造転換を視野に、段階的な人材育成を図っていくことが最も望ましいように思えますが、そのための時間的余裕と資金的体力を確保することは、難題です。

それならば、事業の転換と共に、人材も入れ替えていくという考え方を取る方が、ある意味で合理的です。定年までの雇用保証や「愛社精神」といった考え方に馴染んだ日本企業(および、そこで働く社員たち)にとって、「事業の転換と共に、人材を入れ替える」という考え方は、決して望ましいものではないかもしれません。しかし、環境変化に後れを取り、企業自体が存続不能になるくらいならば、人材の入れ替えはやむを得ないでしょう。

古い事業に従事している社員は、その事業の即戦力者としての価値を保持したまま社外に転身を促し、新しい事業に必要な社員は、その事業の即戦力者(あるいは適性を備えた人材)として新たに雇用します。

当然ながら、即戦力者を獲得していくためには、従事する予定の「職務」に必要な適性・能力・経験を重視した処遇とします。このような人材フローを実現していくためには、「ジョブ型人事制度」の枠組みが有効です。

(*1)東京商工リサーチが集計している「主要産業別平均寿命」によれば、2020年に倒産した企業の平均寿命は23.3年で、最も長いのは製造業の33.4年であった。すなわち、事業の寿命は30年以内に尽きる可能性が高い、と考えられる。

ジョブ型人事制度の5つの機能とそれぞれのメリット

ジョブ型人事制度に期待される機能は大きく5つあり、それぞれメリットと注意点があります。

・ミッション(期待役割)の明確化
・即戦力採用競争力の強化
・経済合理性に基づく賃金決定
・合理的な要員管理
・意識改革(社員の自律性強化)

【機能①】 ミッション(期待役割)の明確化

メリット

能力型人事制度(職能資格制度など)の基盤が「能力定義・能力基準」であるように、ジョブ型人事制度の基盤は「職務記述書・ジョブディスクリプション」です。

「職務記述書・ジョブディスクリプション」の作成方法には様々あり、自社の職務組成のあり方に適した作成方法を選択することが重要ですが、どのような作成方法を取ったとしても、職務毎に「為すべきことや果たすべき成果(ミッション、期待役割など)」が具体的に定義されるようになります。

「職務記述書・ジョブディスクリプション」は、社員の目標設定やパフォーマンス評価の基準と表裏一体であるため「毎年の目標設定の度に、個々の社員が目標をひねり出す」ような手間(場合よにっては無駄)はなくなります。

企業にとってみれば、「職務記述書・ジョブディスクリプション」は、事業推進(バリューチェーン構築)と戦略実現に必要な職務設計を体系的に行っていくことに等しく、「職務記述書・ジョブディスクリプション」を通じて事業戦略を個々の社員に浸透させていくことが可能です。

社員にとってみれば、「職務記述書・ジョブディスクリプション」は、自分の為すべきこと(しなくていいこと)を明確にしてくれるものであり、自律的に(自分を中心に)業務を進めていきやすくなります。

注意点

「職務記述書・ジョブディスクリプション」の作成とメンテナンスには相応の手間がかかり、「能力定義・能力基準」は概ね等級別や職種別の斉一的な内容であったことに比べると、「職務記述書・ジョブディスクリプション」の運用コストはかなり上昇すると考えておく必要があります。(「職務記述書・ジョブディスクリプション」の運用コストをどのようにして効率化するか、あるいは、運用コストに見合った効果をどうやって実現するか、が大事なポイントになります)

【機能②】 即戦力採用競争力の強化

メリット

ジョブ型人事制度では、「職務記述書・ジョブディスクリプション」に基づいて賃金を決定するため、年齢や社歴などに関わらず、当該職務の経験や実績に基づく賃金提示を行うことができます。

特に、DXやICTの領域など、比較的若くても高い市場価値が形成されている職種・職務では、その職種・職務に応じた賃金提示を行えるようになることは、人材獲得競争において極めて重要な意味を持ちます。

また、採用時にも「職務記述書・ジョブディスクリプション」に基づいてミッションや期待役割のすり合わせを行った上で入社するため、入社後のミスマッチの確率は低くなり、期待と実際のパフォーマンスに乖離があった場合の評価と処遇修正も行いやすくなります。

注意点

職種・職務単位での外部労働市場が未発達の日本では、そもそも「職務記述書・ジョブディスクリプション」の内容が各企業固有のものであり、賃金相場についても、職種・職務特性だけでなく企業規模や事業特性の影響を強く受けているものと想定されます。

つまり、「外部労働市場における職務別賃金相場」が合理的に形成されている訳ではない、ということです。

ジョブ型人事制度を導入すれば、即座に「外部労働市場における賃金水準を、社内で再現できる」というものではなく、職務別の賃金決定に際しては、自社の職務組成の特徴と、外部労働市場の賃金データの信頼性をよく考慮して検討することが必要です。

【機能③】 経済合理性に基づく賃金決定

メリット

ジョブ型人事制度では、職務に応じて賃金が決定されるため、「職務が変わらなければ、賃金が大幅に上昇することはない」「賃金は外部労働市場の賃金データに連動するため、職種・職務別に合理的な水準の賃金設定が可能である」という理屈が成り立ちます。従って、能力型人事制度に比べると、経済合理性のない人権件費上昇を抑制しやすいと言えます。

注意点

先にも述べたように、日本では外部労働市場の賃金データの信頼性が高くないことに加え、そもそも総合職で採用した人材は、会社の裁量権によって配置(職務)が決められています。そのため、配置の合理的な説明ができなければ、「職務が変わらないから、昇給もない」というのは機会の不平等の可能性があり、社員のモチベーション(および企業の人事に対する信頼感)に深刻なダメージを与える可能性があります。

【機能④】 合理的な要員管理

メリット

ジョブ型人事制度では、どの職務に何人の人材が従事しているのか、ということが一目瞭然です。人員増についても、職務の必要性が明確になっており、余剰な人員を採用したり、抱え込んだりするリスクは低くなります。

「職務記述書・ジョブディスクリプション」のメンテナンスを定期的に行っていくことで、常に必要人員数の棚卸を行うことができ、人材が余剰な職務から、不足の職務(または社外)へと人材の再配置をタイムリーに行いやすくなります。

注意点

日本企業の職務組成は、バリューチェーンと戦略のあるべき姿から合理的に組み立てられているケースは稀であり、「部門・組織にいる人たちが、自分たちの仕事を創り出している」というケースの方が一般的です。

従って、現場主導で作成した「職務記述書・ジョブディスクリプション」の中には、必要性や合理性の低い内容(あるいは、非効率な役割分担)が多分に含まれていると考えておく必要があります。

【機能⑤】 意識改革(社員の自律性強化)

メリット

ジョブ型人事制度では、自分の能力や(蓄積してきた)経験よりも、その時々の事業や組織のニーズが重視されます。能力や経験に価値があったとしても、それを発揮できる職務やポジションがなければ、価値を認めて貰えません。

そこで、ジョブ型人事制度を導入することで、事業や組織のニーズの変化や見通しについての関心度を上げると同時に、「自分の処遇を高めるために、自ら仕事を獲りに行く」姿勢を強化していくことが期待できます。

注意点

職務と処遇が直結することにより、企業が裁量権を持って行っている人材配置(人事異動)に、合理性と透明性が求められるようになります。社員に自律性を求める代わりに、企業側も場当たり的な人材配置はできなくなり、より高度な人材フローコントロールが必要となります。

ジョブ型人事制度の導入効果

このように、ジョブ型人事制度には(能力型人事制度では得ることが難しい)大きな効果を得られる可能性があります。ただし、ジョブ型人事制度が効果を発揮するための前提条件が、日本の企業組織と労働市場に整備されていないという現実を忘れてはいけません。

そのため、ジョブ型人事制度を導入する際には、期待する効果だけでなく、「効果を実現するために、併せて変革・整備すべき、組織運営のあり方」も明確にすることが必要です。

あるいは、事業構造改革など、組織運営のあり方を大きく見直すべき局面において、社員のモチベーションに大きく影響する人事制度を「ジョブ型」に転換することで、組織改革と意識改革を強力に進めていく、という考え方をとることも有効です。

クレイア・コンサルティングでは、事業構造改革や組織改革を強力に進めていくための手段の一つとして、ジョブ型人事制度への転換を進めるというコンサルティング事例が多々あります。

ジョブ型人事制度は、組織や職務の組成のあり方が、社員の処遇に直結するという効果(場合によっては危険性)がある人事制度であり、あくまでも「事業や組織の変革」という上位目的に基づいて、(人事領域だけでなく、戦略・組織・業務といった)総合的な観点で設計と導入を行っていくことが重要です。

クレイア・コンサルティングが提供するジョブ型人事制度の特長

1.企業の永続的成長に向けた制度構築

ジョブ型人事制度を構成する論理はシンプルで、「従事する職務価値と処遇を一致させる」ということが基本原理です。

しかしながら、この基本原理の中には、企業が永続的に発展する過程での職務の進化・変化や、その進化・変化を生み出す人材の育成、というものは含まれていません。

その時存在する職務に、必要な人材をその都度調達する、という考え方は一見合理的であるように見えます。しかし、企業が、付加価値の絶え間ない創造と、雇用創出によって社会に貢献し続ける存在であるためには、企業の未来を創り出す人材を、組織内で育成していく必要があります。(もちろん、事業の転換に際して、職務と共に人材も入れ替えることで対応する、という考え方もありますが、多くの企業経営者と社員には受け入れにくい考え方なのではないでしょうか。)

ジョブ型人事制度というと、職務価値の算定や合理的な賃金決定といった「処遇」に注目が集まりがちですが、深く考えて工夫すべきは、ジョブ型人事制度の中で、将来に向けた人材育成を持続的に行っていくことである、と私たちは考えています。

ジョブ型人事制度構築に際して、現在の事業構造や職務構成に合わせた制度を設計・導入しても、企業の永続的成長には繋がりません。経営ビジョンと事業戦略を土台として、事業構造と職務構成の変化を予測し、ジョブ型人事制度の中でも変化に対応できる人材を育成していけるような制度が必要である、と私たちクレイア・コンサルティングは考えます。

2.人材フローと整合した制度設計

ジョブ型人事制度は職務に応じて処遇を決定する仕組みですが、その職務配置を決定しているのは、通常は企業です。典型的な日本の大企業では、本人の希望や適性以外にも様々な要素を総合的に勘案・調整しながら配置調整を行うことで、新卒一括採用から定年退職までという(事業のライフサイクルを超えるような)長期にわたる雇用維持を実現してきました。

しかしながら、職務に応じて処遇が決定するのであれば、職務配置決定に対する社員の納得感は極めて重要な要素となります。そのため、バリューチェーン特性と戦略を踏まえた適材適所配置、長期の雇用維持と人材育成を可能にする全体最適配置、社員の納得感を得られる配置、といった観点をバランスさせる方策がなければ、ジョブ型人事制度は効果的に機能しないばかりか、副作用の方が大きくなる可能性があります。

また、職務組成と人材配置と人件費管理のプロセスも重要です。一般的には、職務組成は現場が行い、人材配置は人事部の調整のもとで経営陣が決定し、人件費(人員数と人件費単価)は人事部がコントロールする、といったパターンが多いですが、これでは、職務組成と人材配置と人件費管理に一貫性がなくなり、ジョブ型人事制度の運用において矛盾が露呈する可能性が高くなります。

そのため、外資系企業では一般的な「職務組成と人材配置(採用)と人件費管理の権限・責任を、一貫して現場責任者が追う」というシンプルな論理を、多くの日本企業にすぐに導入するのは現実的に難しいでしょう。

クレイア・コンサルティングは、人事制度設計の経験だけではなく、その運用と定着に関する経験も豊富であり、ジョブ型人事制度が機能させるために必要な前提条件の構築・変革に関しても多くの知見を有しています。

3.ジョブ型人事制度の多様なバリエーションに対応

ジョブ型人事制度には、大きく分けて「職務型」と「役割型」の2つがあります。

ジョブ型人事制度の種類

「職務型」とは、職務定義書・ジョブディスクリプションが定まっている職務に、人材を当てはめていくような人材配置を行う場合に有効な方法です。

「職務型」は、職務を担う社員が誰なのかによって、職務定義書・ジョブディスクリプションの内容が変わることはありません。また、職務定義を、世の中の一般の職務分類と一致させておくことで、外部労働市場の賃金データとの比較も行いやすくなります。

しかしながら、多くの企業では、上記のような「定まった職務に、人材を当てはめる」というやり方を採用していません。特に、企業の中核にあり、将来を左右するような企画創造的な業務では、その部署・チームに所属している人材が、それぞれの持つ適性や経験を有機的に結合させながら職務を推進できるように「役割分担」を行うやり方の方が一般的です。

すなわち、個々の社員の職務内容は、同じ部署・チームに所属しているメンバーの特性などによって左右され、「役割分担」の結果として決まるものであり、部署・チームのメンバーが変われば、個々の社員の職務内容も変わるということになります。この方式は、役割分担を変えながら段階的に人材育成を行っていくことができるなど、多様な特性・能力・経験を持った人材を有効に活かせるメリットがあります

このように、個々の社員の職務内容が「役割分担」の結果として決まるような場合に適しているのが「役割型」の人事制度です。

「職務型」と「役割型」は、企業の中で混在する場合があります。概ね、定型的業務には「職務型」が、企画創造的業務には「役割型」が適合しやすいため、「職務型」と「役割型」の両右方の要素を持った人事制度が必要となる場合もある。

クレイア・コンサルティングは、個々の職務定義や処遇決定という「ミクロ」の視点だけでなく、事業構造や事業戦略から組織全体の職務組成と人材配置の動きに関する「マクロ」の視点(全体観)から、組織全体の職務組成と人材配置の複雑な動態に対して、本当に機能する人事制度を構築できるよう、あらゆる方策・ツールを駆使し、支援いたします。

4.ジョブ型人事制度への転換リスクのコントロール

能力型人事制度からジョブ型人事制度への転換は、人事制度の変更ということに留まらず、組織と職務および人材の関係性を大きく変えることに繋がります。従って、ジョブ型人事制度への転換の過程では、これまでの組織運営や職務配置などとの間での矛盾や、社員の不安が、数多く発生します。

端的に言えば「自分で職務を選択できないのに、その職務で処遇が決まるのは納得できない」といった声にどう対応するかということです。

仮に「職務を自分で選択できるジョブポスティング制度などを導入する」といった対策を取った場合、人気職務・不人気職務の間での人材の偏在にどう対応するかなど、問題が次から次へと発生します。

ジョブ型人事制度を有効に機能させるためには、人事制度の構造だけでなく、組織と職務、人材配置の関係性、および、社員の意識と理解、を大きく変えていかなければなりません。その過程で発生する様々なリスクや副作用については、できる限り予測して対処していくことが必要です。

クレイア・コンサルティングは、人事制度というツールが価値を発揮するには、運用・定着がなされてこそ、という信念をもってコンサルティングを行っています。

改革の推進には理屈と理論が重要であることは確かですが、それだけでなく、組織と人間という「複雑で変化する存在」を俯瞰的かつ具体的に捉え、現実的に成功する策を生み出すという経験を、私たちは積み重ね、そのノウハウを蓄積しています。

AUTHOR
針生 俊成
針生 俊成 (はりゅう としなり)

クレイア・コンサルティング株式会社 執行役員COO マネージングディレクター
筑波大学第二学群人間学類卒業

トーマツコンサルティング、アーサーアンダーセンを経てクレイア・コンサルティングの立ち上げに参画。
幅広い業種における統合的人事制度改革、コンピテンシー設計、人材アセスメント、人材育成、意識改革、ES(従業員満足度)向上等、多数の人事コンサルティングプロジェクトに従事。合併や分社等の組織再編に伴う人事制度改革、高度専門職の人事制度設計やコンピテンシー設計、ブランドマネジメントと連動した人材マネジメントのコンサルティング等の実績も豊富。

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