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事業転換期における人員・人件費計画の見直し(人員・人件費シミュレーション)

人員・人件費シミュレーションとは、人員構成と人件費の中長期的な推移を予測・分析し、事業の構造的見直し施策(バリューチェーン改革や組織再編など)を行った場合の人件費効果を検証するマネジメント手法です。特に、新型コロナウイルス(COVID19)の世界的なパンデミックにより、ビジネスモデルの抜本的な変革を迫られる今、人員・人件費シミュレーションは不可欠です。


人員・人件費シミュレーション

事業の構造的見直しに不可欠な人員・人件費シミュレーション

新型コロナウイルス(COVID19)の世界的なパンデミックは、あらゆる業種で、ビジネスモデルの根本的な見直しを迫っています。新型コロナウイルスとの戦いが終わった後も、以前の事業環境に戻ることはないでしょう。withコロナ、afterコロナの時代に向けて、ビジネスモデルの構造的変革が不可避となっています。また、好況期であれば存続できた事業の持続可能性についても、シビアな見直しが迫られています。

また、新型コロナウイルスは、働き方にも抜本的な変革を迫っています。リモートワークの定着や、顧客接点のあり方の見直しなどによって、業務の進め方や分担のあり方なども、これまでにないほど大きく、急速に変わっていくでしょう。

ビジネスモデルの根本的な見直しや、働き方の抜本的な変革により、人員配置の大幅な見直しは不可避です。場合によっては、事業や組織単位での見直し(組織再編、M&A)も必要となるでしょう。大胆に、かつ、スピード感をもって人材配置を見直し、人件費効率の低下を防いでいかなければ、事業継続が危うくなる可能性もあります。

しかしながら、人員配置の大幅な見直しは、社員に大きな不安や苦労を与えることになります。職種転換やアウトフロー(事業の売却・撤退や早期退職など)を伴うような見直しならば、尚更です。失敗すれば、人員再配置や人件費効率の効果よりも、副作用(モチベーションダウン、人事への信頼感低下、会社への忠誠心の低下、など)の方が大きくなってしまうでしょう。

過去、バブル崩壊時には、多くの企業が人員と人件費の削減もしくは変動費化を目指して成果主義人事制度を導入しました。この時も、経営環境と財務状況の急速な悪化に伴う急激な改革でしたが、十分な準備(人事マネジメントの考え方転換やスキルアップ)ができないまま、あるいは十分な社内的議論を尽くすことができないまま、人事制度改革に踏み込んだ企業も多数ありました。その結果、過去に比べると人員や人件費のコントロールを行いやすい人事制度を導入することはできましたが、同時に多くの副作用が発生してしまった企業も少なくありません。

上記のような反省を踏まえつつ、それでも、急速な環境変化の中で事業構造の見直しと人材再配置の意思決定を素早く行っていくためには、その重要な判断材料となる「人員と人件費の将来予測(改革しなければどうなるのか)」を定量的に把握しておくことが不可欠です。また、副作用の影響度や回避・軽減策も考慮した打ち手を考案していくために、人員・人件費の定量把握の過程を通じて自社事業の人員・人件費構造の特徴をよく理解しておくことも重要です。

人員・人件費シミュレーションの効果

1.人員・人件費の変化を時系列で把握(いつ、どうなるのか)

多くの日本企業は、新卒採用と定年退職を人員数コントロールの手段としています。すなわち、かなり長期スパンで人員数コントロールを行っています。仮に新卒採用をストップしたとしても、人員数が急激に減る訳ではなく、新卒採用を完全にストップすることの弊害は、10~20年後に「中核社員層の不足」として顕在化します。また、定期昇給が一般化している多くの日本企業では、仮に採用をストップして人員数を一定に保っても、平均人件費は上昇していきます。平均年齢と平均人件費の上昇は、中長期的に企業の競争力を削いでいくことになります。更には、ここ数年の働き方改革、同一労働同一賃金の法制化、雇用延長の義務化など様々な法改正の対応に伴い、人件費の上昇圧力は将来に向けて高まっていると言えます。

一方で、長期雇用が根付いている日本企業の人員と人件費の推移は、人事制度の構造を正しく分析すれば、年単位で精度高く予測していくことが可能です。10年先までの人員と人件費の推移が定量的に把握できれば、10年先までの人件費コストを念頭に、事業改革の建設的な議論が可能になります。

「当面の採用停止」「当面の昇給ストップ」「当面の賃金カット」といった施策は、根本的な解決策とならないどころか、中長期的には人員構成の歪みや優秀人材の流出などの副作用を引き起こす可能性すらあります。

事業環境の変化が一過性のものではなく、根本的・構造的な変化であるならば、「人員配置と人件費についても構造的見直しに着手することが不可避である」ということを、人員・人件費シミュレーションを通じて定量的に把握し、経営幹部や労働組合との認識の共有を図ることが、建設的でスピーディーな改革の第一歩となります。

2.現行制度での人件費コントロールの可能性と限界の把握

自社の人員構成と人事制度に基づいて人員・人件費シミュレーションを行うことで、現行の人事制度における人件費の増加要因とコントロールの可能性を具体的に把握でき、抜本的な人事制度改革に着手する前に、人件費コントロールを可能にする方策を見つけ出すことも可能となります。

例えば、月例給与が「人ベース」の賃金項目(能力給など)と「仕事ベース」の賃金項目(職務給、役職手当など)で構成されている場合、法的リスクや社員の生活への影響の観点から月例給与の構造はすぐには変えられないとしても、賞与の算定基礎を「仕事ベース」の賃金項目に絞ることで、より貢献度の高い社員への賞与配分を増やすことができ、仮に賞与原資を削減したとしても、貢献度の高い社員の賞与まで大幅に引き下がる現象を抑えることが可能となります。

特に、早急に人件費効果を出さなければならない局面では、時間をかけずに実行可能な施策を考案することが重要です。人員・人件費シミュレーションを行う過程では、その施策を見つけ出すことも可能です。

3.施策の影響を検証

人員・人件費シミュレーションでは、人員数と人件費に影響を与える要因(パラメーター)を変えた場合に、どの程度の人件費効果が、いつ見込めるのか、を検証することが可能です。

特に、経営環境の激変を受けての人事改革では、社内で議論を尽くして対策を練り上げるという余裕はなく、環境変化のスピードや程度に合わせて対策を講じていく必要があり、改革プランを複数、あるいは段階的な改革プランを準備しておくことが重要になります。

「施策と人件費効果の組み合わせ」を複数のシナリオで検証しながら、必要なタイミングで必要な対策を講じていく。その備えを検討する上でも「シミュレーション」という方法は不可欠です。

クレイア・コンサルティングが提供する人件費シミュレーションの特長

1.人員・人件費を構造的に分解・分析

クレイア・コンサルティングが提供する人件費シミュレーションは、より実践的な効果を出すべく、いくつかの工夫を取り入れています。第一の特徴は、ビジネスモデルや事業組織構造を反映したシミュレーションを実施できることです。

人員・人件費シミュレーションを担当するコンサルタントは、事業構造改革に伴う人事マネジメント改革の経験も豊富です。全社の人員・人件費を一括してシミュレーションするだけでなく、バリューチェーン機能別、事業部別、地域支社別などの切り口で人員・人件費の推移を予測するシミュレーションを構築することができます。

また、グループ会社も一体となってバリューチェーンを構成している場合、自社の人員・人件費だけでなく、(人事制度が異なる)グループ会社が担当するバリューチェーン機能に関する人員・人件費の構造解析とシミュレーションを併せて実施することも可能です。

シミュレーションは、この先10年間の推移を対象としますので、大規模な改革による人員・人件費面での投資対効果を、総合的に、また、時系列で、検証することも可能です。

例えば、グループ会社や関連会社も交えて複層的なバリューチェーンを構成している場合に、BPR(Business Process Reengineering)・BPO(Business Process Outsourcing)・拠点統廃合等の組織スリム化などを行った場合の人員捻出効果や人件費効果を、10年間にわたってシミュレーションすることが可能です。

また、人員や人件費の総数や構成比を把握するだけでなく、事業のKPIと組み合わせて、人員生産性や人件費効率をシミュレーションすることも可能です。

例えば、全国の拠点やグループ会社・関連会社も含めて、人員生産性や人件費効率の推移予測を比較分析し、グループ全体で人員配置(含:出向・転籍)や採用計画の見直しを行っていくことも可能となります。

2.各企業の人事制度を完全把握した詳細なシミュレーション

第二の特徴は、企業毎に異なる人事制度の構造と人件費に影響を与える要因を網羅的に把握した、各企業にとって最適なシミュレーションを実施できることです。

人件費シミュレーションを担当するコンサルタントは、様々なパターンの人事制度を熟知しています。人事制度に関する規程や労働協約等を正確に読み解き、人件費に影響を与える要因を網羅的に把握したうえで人件費シミュレーションを構築しますので、各企業の人件費の構造や変動要因が的確に分析できます。また、担当するコンサルタントは人事制度の運用にも長けているため、規程や労働協約等のルールだけでなく、人員・人件費データから読み取れる昇格・昇給の運用傾向やイレギュラー対応の発生に至るまで的確に把握し、シミュレーションに反映することができます。

人員配置の大幅な見直しや人員増減などの方針決定といった重要な経営的判断を的確に行うためには、精度の高い人員・人件費シミュレーションが求められます。各企業の人件費の構造や、選択し得る打ち手についても、人事制度の構築・運用の経験豊富なコンサルタントが明快に解説いたします。

3.人員・人件費の改革施策の提言と効果検証

ある人事施策が、人件費の増減にどのような影響を及ぼし得るのかを的確に分析するためには、人件費変動の構造を熟知していることが不可欠です。

例えば、人件費を抑制するために派遣社員の契約を解除する場合、当然ながら派遣費用は低減されますが、契約解除された派遣社員が行っていた業務は今の社員が代替することとなります。その結果、社員が残業をせざるを得なくなり、その分の残業代が発生すると同時に、残業代を含めた賃金の増加により、保険料の算定基礎が上昇し、残業代増加分の法定福利費(雇用保険料、労災保険料、健康保険料、厚生年金保険料など)も併せて増加する可能性が出てきます。

このような人件費の相互作用を正確に見極め、その影響を検証することが、人件費の推移を見ていく上では重要となります。人件費シミュレーションを担当するコンサルタントは、人材フローマネジメントや人件費生産性向上などのプロジェクト経験も豊富です。一見有効と思われる人件費コントロール施策が、実際にどのような影響をもたらす可能性があるのか、その効果と副作用を的確に分析して提言します。

4.M&Aの人事デューデリジェンスにも対応

M&A(企業の買収・合併)時にも、このような人員・人件費シミュレーションは極めて大きな効果をもたらします。M&A対象企業の社員のモチベーションに配慮しながら人件費改革を進めていくための方策を検討するためには、M&A時点での人員と人件費を把握するだけでなく、M&A対象企業の人事処遇と人件費の構造を仔細に分析・把握することが必要であり、M&A後の人員・人件費の趨勢とコントロール策を把握するために人件費シミュレーションを実施することが効果的です。

人員・人件費シミュレーションを担当するコンサルタントは、M&Aの局面での人事コンサルティングの経験も豊富です。人員・人件費シミュレーションを行いながら、定量的な把握・分析にとどまらず、M&A後の人事マネジメントにおいて重大な影響を及ぼす可能性がある要因を見つけ出し、アドバイスを行うことも可能です。

人員・人件費シミュレーション実施のステップ

1.人件費構造の分析

最初に、人件費に関連する規程や労働協約、および社員データ(人員構成、人件費水準)を網羅的に分析し、企業の人件費構造(変動のメカニズム)を網羅的に把握します。

規程や労働協約と社員データを比較し、規程外の運用やイレギュラー対応が行われている場合には、その背景をお伺いし、シミュレーション上で考慮すべきかどうか検討します。

この段階で、現行人事制度において実行可能な人件費コントロール策をリストアップします。

2.シミュレーションのシナリオの設定

シミュレーションによって、どのような人件費コントロールの選択肢(シナリオ)と効果を検証するのか決定します。

例えば、下記のようなシナリオ設定が想定されます。

  • 採用人員数(新卒・中途)の増減による人件費への影響
  • 中途退職(アウトフロー)の促進による人件費への影響
  • 昇格率の増減による人員構成と人件費への影響
  • 昇給率の増減による人件費への影響
  • 給与テーブルの上下限の変更による人件費への影響
  • 賞与の支給率変動による人件費への影響
  • 諸手当の増減による人件費への影響
  • 正社員を非正規社員に切り替えることによる人件費への影響
  • 非正規社員の削減による人件費への影響
  • 定年後再雇用の処遇条件変更や再雇用率増加による人件費への影響

シナリオは、人件費コントロールが必要な背景や、コントロールしたい人件費の大きさなどを踏まえて個社ごとに設定します。

3.前提条件の整理

シミュレーションのシナリオと精度に応じて、適切な前提条件を設定します。例えば、今後の傾向や趨勢を把握するためのシミュレーションであれば最低限の前提条件に絞る、人件費管理のための精緻なシミュレーションであればできる限り前提条件に反映させるなど、適切な検証を行うために柔軟に前提条件を定めることができます。

まず、計算範囲と人件費増減ルールを整理します。計算範囲には算出対象者や算出対象項目、人件費増減ルールには評価・昇降給・昇降格ルール等があります。

次に、対応しない事項の整理を行います。シミュレーションの計算方法に反映させない内容や、固定値で計算する内容を明確にします。例えば、シミュレーション上は降格や制度変更を反映させない等があります。

上記以外にも、用語の意味や慣行などで固有のものや特殊なルール等、シミュレーションの計算方法に影響する内容を洗い出し、定義しておくことで、認識のずれや計算方法の誤りを防ぎ、正確なシミュレーションを行うことが可能となります。

4.算出方法の定義

対象者区分ごとに算出項目とその算出方法を整理します。

  • 単年度の算出方法
    対象者区分ごとに算出対象項目を整理したら、算出方法の詳細を定義します。規程類に定められている場合はその内容に沿った算出方法とし、賞与や手当などは支給実態を分析して算出方法を決定します。

  • シミュレーション開始翌年度以降の算出方法
    長期シミュレーションの場合は、開始年以降の昇格を踏まえた算出方法を定義します。開始年と開始年以降を比較し、翌年以降のシミュレーション対象者の特定と、昇格をシミュレーションに反映させる方法を定義します。

5.シミュレーションファイルの作成

定義した算出方法に基づいてシミュレーションファイルを作成します。

シミュレーションファイルでは、シナリオとして操作したい部分を「パラメータ入力欄」として設定し、シナリオを変動した際の効果を即座に検証できるようにします。また、シミュレーション結果をわかりやすい表やグラフで参照できるようにします。

6.シナリオ検証と報告

当初想定したシナリオの検証結果をわかりやすく解説いたします。

また、当初想定したシナリオでは、望ましい人件費コントロールが実現できない場合には、人事制度の変更を含めた代替策をご提言します。

また、シミュレーションファイルは当初想定したシナリオ検証と報告後に、人事担当者が操作できるように操作方法を説明したうえでご納品いたします。ご納品した成果物をもとに、自社内で継続的に人件費シミュレーションを行うことが可能です。

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