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【M&Aセミナー講演録】第2回:統合・再編までのスケジュール感は?

第2回:統合・再編までのスケジュール感は?

パネリスト
・アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 パートナー 田中 勇気 弁護士
・当社執行役員 マネージングディレクター 針生 俊成

司会
・当社執行役員 ディレクター 桐ヶ谷 優

「Day1」までにすべきこと、しなくてもいいこと

司会 今ご参加されている皆様の中には、経営陣から「急ぎ再編を進めよ」「子会社を統合せよ」といった指示を受けている方、「事業部を切り出せ」「別会社にせよ」という課題に直面されている方もいらっしゃると思います。
「いつから進めたらいい」という正解はなかなか難しいのかもしれませんが、どのような時間軸を持って、現場の人事の方々は、取組むべきでしょうか。

針生 人事の担当役員の方と話をしていると、スケジュールはあまりコントローラブルでありません。
「人事の私に話しが降りてきた時は、Day1が決まっていて、ここまでになんとかしろ」ということが主で、大きくスケジュールを動かすことは出来ないケースが現実的に多いです。

我々がクライアントとスケジュール感の話をする際に最も気にすることは、事業分割等で違う会社に行かれる方が、「移行先をポジティブに捉えることができるのか」です。

ポジティブに捉えられるシナリオを作ることができるのであれば、時間軸の問題は気になりません。
しかし、どう考えてもネガティブに受け止められるだろうということになっていくと、慎重になります。

人の気持ちのところからスケジュールを考えると、一概に何か月前というよりは、「多くの人たちが、このディールや組織変革をどう受け止めるだろうか?」、という読みからスタートすることが多いです。

合併とか、事業譲渡をして一国二制度になったとしても、特段問題はない訳ですし、人事的に言えば、労働契約の主体となる会社名を書き換えるだけで、何もしないということでも構わないわけです。

本来であれば、「合併という組織の変化のために人事が何かをする」というよりは、その後の人の異動や配置転換、処遇の変更などを変えていくために、色々と制度を整備していく、ということだと思います。
敢えてDay1にこだわる必要はない、というのがコンサルタントとしての実感です。

現実にDay1というのは、会社名が変わる、名刺が変わる、これだけでも現場は大変です。営業は取引先に挨拶に行き、これまでと関係が変わらないことを説明しながら、現状の業務を進めていくわけです。
ここに一気に処遇の変更や個別同意の取得を絡めていくのは、上手くいかない可能性の方が高いと思います。

人事関係以外で気にしたい、2大ポイント

針生 「スケジュール」としては、人事ではない所で私が気になるのはふたつ。

まず、情報開示のコミュニケーションのスケジュールです。
プレスリリースがいつ行われるのか、どこで従業員にオープンになるのか。
特に資本関係が違う会社間でのディールというのは、かなり守秘性が高いので、ぎりぎりまで従業員には言えない。

となると、どのタイミングでどの位の情報が従業員にいくのだろうか、その時に、不安と不信が起こることを前提に考えた時に何の情報を人事として開示できるようにすればよいのだろうか、ということです。
プレスリリースのスケジュールは人事の都合で決められないものなので、早めにスケジュールを押さえてその時に人事として何をメッセージとして送るのかということを気にします。

もうひとつは、組織の統合に比べて、業務の統合の影響の方が大きいことです。
組織の統合は、「組織図をふたつ並べて会社がひとつになった」ということはよくありますが、業務の統合はA社とB社が本当に机を並べて一緒に仕事を行う、業務フローの間にA社とB社が混在することになります。

象徴的には、システムの統合と、組織図の統合です。
システムが統合されると、業務フローが変わります。組織図が統合されると、役職者の数が通常減ります。

この時に現実的に人事に影響が出てきますから、この時までに、なんらかの人事統合なり、処遇や評価の基準なりを用意しておかなければなりません。

長い会社さんですと3年がかり、早い会社さんですとDay1の半年後位に実際に統合が始まる、というスピード感です。
ですので、まずはそのスピード感を押さえて、人事のスケジュールを立てるのが現実かと思います。

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